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「発達障害者」はなぜ苦しいのか

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

発達障害当事者の苦悩の一つは“できることとできないことの差が激しいこと”

掲示板まとめサイトを見ていたら、以下のような言葉を見つけた。

> 中途半端だからこそ支援もまともにされず詰むのが正常知能の発達障害だからな。
> 単純に「軽いんだから甘え」で済まない問題。
> 所詮健常者ではないので、無支援で健常者の枠で動けば目に見えてうまくいかない。

(一部表現を削除・変更しました)

かなり共感を覚える。

私は「正常知能の発達障害」に当てはまる。
このタイプは、できることにはかなりのパフォーマンスを発揮する一方、
できないことはとことんできない。そこに悲劇が生まれる。

私を例にとってみる。
一部の能力に関しては、平均を大幅に上回っているみたいだ(と、思っている)
そのあたりについては社内外で驚かれることがある(と、思っている)

ただし、一部の能力に関しては、大幅に平均を下回っている。

これが苦悩を招いた。

好きなことには楽に過集中できる私は、ある一定のジャンルにおいて、
比較的楽に結果を出すことができる。

すると、どうなるか。

全ての領域に、一番高いレベルと同じ結果ができて当然と思われている。
そこに満たない点については、「できない」ではなく「やらない」
と思われるのだ。

特に「一般的な社会人」が当たり前にできると
彼らが思っている項目について、満ち足りていない点については。

しかし、発達障害のある本人は知っている。ごく一部しか、自分の能力が発揮できないことを。
そして、彼らは知らない。理解も難しいだろう。

例えば、私の場合、ADHD特性の影響で整理整頓が極端に苦手だ。放っておくと、書類がすぐにたまる。
多くの方から見ると「片付けをしていない」だけ。
色々工夫して、苦労しながらもなんとか管理しているが、それでもイライラする。
私としては他の方が書類をしっかり整理できているのは神業に見える。

しかし、ある一部の教材を苦もなく作れる<かめたーとる>が、整理整頓をせずに机が汚いのは、(無意識的だと思うが、)怠慢と考える人が多い。

結果的に、私によく貼られるレッテルは、
「好きなことしかやらないわがままなやつ」
「自分の嫌いなことはしない、大人になりきれないやつ」

いやいや、他のことでも同じレベルで仕事ができるならしたいよ。
でも、いくら頑張ってもできないから苦労しているんじゃないか。

と、言っても、当事者でない多くの方は理解してくれない。
いつまでも彼らは「正常」なあるべき論から離れようとしない。

発達障害から来る苦しみを減らす3つの対策

私は「発達障害者」がこれらの苦しみを減らすために重要なことは3つだと思う。

① 発達障害によるトラブルを軽減するための工夫をすること
② 自分の強みや天才性に気づくこと。特に、自己肯定感が低い人ほど。
③ 受入れてくれる場を作ること

この3つをどう対策していくのか?
それは別の回に。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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