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発達障害のない方へ(1)

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

発達障害のある私から、発達障害のない方へお願いしたいこと

発達障害がある私から、発達障害のない方へのメッセージです。
発達障害も多様なので、あくまで私1人の意見としてお読みください。

先日、1人の「発達障害者」として企業の人事担当の方に
お会いすることがありました。
そのときに驚いたことが、発達障害について全くご存じないということ。

「発達障害」を名前として知っていたとしても、理解は全く進んでいないのだな、
ということを痛いほど感じました。

発達障害当事者として、私が定型発達の方に最もお願いしたいこと。
それは「理解」です。

発達障害の「理解」は仕事の効率を高めることに繋がる

「かめたーとるは発達障害を持っており生きづらさを抱えている」
という理解をしてもらえたか、もらえなかったか、
それが私にとっての働きやすさに大きな差を生み出しました。

社会人である以上、「それは甘えだ!」と思われるかもしれません。
確かに、おっしゃる通りかもしれません。
でも、できないのが発達障害当事者にとっての現実なのです。

実際に私は、
「甘い」「覚悟が足りない」「本気を出していない」
と上司に言われたことがあります。

もし、発達障害のある方が配属されてきたら、
また、もし一緒に働いている方が発達障害とわかったら、 ※1
3つの理解をお願いしたいのです。

①Aさんは発達障害であるという理解
②発達障害とはどういうものであるかについての理解
③Aさんは発達障害の中で「◯◯」という特性があり、「××という困難がある」というその方の適性の理解

この3つの理解です。

ここで、強調しておきたいことがあります。
①を知っただけでは、真の意味で「理解」とは言えない、
ということです。

私は自分の発達障害をできるだけオープンにします。
理解して欲しいからです。 ※2

しかし、①のみの理解の場合、私に関しては状況が好転することはありませんでした。
もちろん、ある程度の配慮が行われましたが、それでも私は適応できませんでした。

発達障害のある方が職場に来たら、職場にいたら、
または発達障害と思われる方が職場にいたら、
まずは発達障害について、調べてみてください。
ネットで調べる、本を読むなど、調べる方法はいくらでもあります。
(大人向けと子供向けがあるので、注意してください)

そして、ある程度知識を入れた上で、
本人と話し合ってみてください。

「何ができないのか」「本人はどう思っているのか」
「どうようなサポートが必要なのか」
このあたりを理解し、必要な調整を行うと、
本人の仕事のしやすさが大幅に増すでしょう。

ほんの何時間かを使って理解を進めるだけで、
働きづらさを抱えていた本人を戦力化することができる。
時間対効果のとても高い投資だと思うのです。

理解して欲しいことについて、
もう少しだけ次回ブログで書きます。


※1 本人が発達障害だと認識しておらず、後から分かることも多いです。
私もそのケースでした。

社会人2年目のときに、どうしても一部のことができない自分に嫌気がさし、
大学時代の先輩に相談しました。
大学時代は知らなかったのですが、その先輩も発達障害を抱えており、
「かめたーとるもそうではないか?」と教えていただきました。

そこで大学病院の精神科に行き、自分はADHDだと知ったのです。

※2 自分が発達障害と知っていてもクローズにする人もいます。

クローズにする気持ちもよく理解できます。
現在の発達障害に対する世の中の認知を考えると、
変な形で誤解を受ける可能性が高いからです。

私自身、発達障害とオープンにした結果、
仕事内容と関係ないところで「リスクがある」
と判断され、仕事を依頼されなくなったこともあります。
今まで、その仕事で大きな過ちを犯さずにいたにも関わらず。
(後日その会社の別の担当の方から聞きました)

私の場合、「人懐っこい」という特性があり、
また、何より包容力の高い方々と出会うことが多いので、
ADHDであることをある程度オープンにできています。


→《発達障害のない方へ(2)》

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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