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長所・エピソードの見つけ方

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

就活に臨まれる発達障害のある方へ。
『📗 これから始める就活対策~就活準備編~』と題し、5回に渡って書いていきます。

最終回の第5回目は「長所・エピソードの見つけ方」です。
発達障害のある方はもちろん、そうでない方にとっての就活対策のヒントになれば嬉しく思います。

📗 これから始める就活対策~就活準備編~
▶ 働く目的を考える
▶ 就職活動での目標を設定する
▶ 就職活動ではどのような試験が行われるのか
▶ 自己分析のススメ
▶ 長所・エピソードの見つけ方

発達障害のある就職活動中の方には、自己分析を行った結果
「自分の長所が見つからない」「自分をアピールするエピソードが見つからない」
と悩まれる方も多いです。

そこで、今回は長所・過去のエピソードをどのように見つけ、
作り上げていくのかに特化して説明したいと思います。

発達障害のある就職活動中の方へ 『長所の見つけ方』

長所を見つけるための方法は大きく3つあります。

(1)自分の過去を振り返り長所を見つける
(2)知っている人に長所を見つけてもらう
(3)他人と比べて長所を見つける

それぞれどのようにすればいいのか、説明します。

(1)自分の過去を振り返り長所を見つける

一般的に行われている方法です。自分の過去の体験を振り返り、「強み・長所」を見つけます。
詳しくは<自己分析のススメ>をご覧ください。

(2)知っている人に長所を見つけてもらう

自分を知っている人に「強み・長所」を聞きます。
自分の気づかない「強み・長所」を他の人が認識してくれている場合が多々あるからです。

直接聞いたり、電話で聞いたりするのも有効ですが、メールで聞き、それを残しておくと、就職後などで辛い出来事があった時に見返すと力になります。

■長所を人に見つけてもらうコツ1:様々な人に聞く

特定のグループ(家族・サークルなど)に限定するのではなく、様々な人に自分の長所を尋ねてみましょう。そうすると、多様な観点で自分の強みを発見できます。

少し聞きにくい人に聞くと、特に効果的です。
(本当に聞きにくい人に無理して聞く必要はありません)
よく知っている人とは違った視点の長所を伝えてくれるかもしれません。

■長所を人に見つけてもらうコツ2:素直に受け入れる

長所を教えてもらっても、「違う」「イヤイヤ、それは……」と、否定したくなるときもあると思います。特に自分に厳しい人に多いようです。
他人から長所と見えている点は、仕事で発揮できる長所である可能性が高いです。
「他人から長所と思われている」と受け入れておきましょう。

(3)他人と比べて長所を見つける

他人と比較する過程で自分の長所を発見できます。
長所にも関わらず、自分で意識せずに「当たり前」と思って使っている場合があります。
そのため、自分では気がつかないことがあるのです。
ただ、他者から見るとその長所は当たり前ではありません。
そこで他の人と一緒に自己分析をするのです。

他の人の強み・弱みに触れると、自分が持つ強みの自覚にもつながります。
発達障害のある方の場合、同じ障害を持った仲間と比べるのがオススメです。
同じ発達障害特性を持っていたとしても、得意・苦手は異なってきます。
似たような特性を持つ仲間と比較すると、自分だけの長所を見つけやすくなります。

なお、同じ障害を持った仲間と長所を比べるためには、発達障害向けの就労移行支援施設などの支援機関で、訓練を受けるのが近道でしょう。
また、発達障害の当事者会で出席者と話す経験も、自己理解につながります。

発達障害のある就職活動中の方へ『エピソードの見つけ方』

大きく2つに分かれ、それぞれ対策が異なります。

(A)何かに取り組んできた経験がある場合
(B)何かに取り組んできた経験がない場合

(A)何かに取り組んできた経験がある場合

学業・部活・サークル・アルバイト・仕事、経験はある。
しかし、エピソードが見当たらない、という場合は、経験をもう一度整理してみましょう。

すごいエピソードである必要はありません。
そして面接官もすごいエピソードを求めていません。
一生懸命取り組んだこと、壁にぶつかって乗り越えたことであれば小さなものでも大丈夫です。

どうしても書けない、説得力のあるエピソードにならない場合は、支援機関の支援者と話しながら、作り上げていくという方法もあります。
質問を投げかけてもらいながら自分の経験をまとめていくと、自分が今まで何に取り組んできたか、明確になっていきます。

(B)何かに取り組んできた経験がない場合

何らかの事情があり、特に取り組んできたことが見当たらない――。
そういう場合は、今から少しずつでいいので、何かに取り組んでみましょう。
何かに取り組み始めると、何かしらの経験値が溜まります。
その経験値を増やし、新たな経験にチャレンジしていけば、それがエピソードとなりえる経験になるかもしれません。

苦手な、自分の発達障害特性に合っていない作業を無理にする必要はありません。
ポイントは、すぐにできるものから取り組むこと。

例えば、アルバイトをしている場合、アルバイト先のために何か新しい仕事に挑戦してみる。

アルバイトをしていなくても、お風呂をわかす、新聞を取りに行くなど、家族の役に立つことをしてみるといいでしょう。

どんなに小さなものでもいいので、意識してできることを増やしてみてください。
それが蓄積されていくと、あなたオリジナルの長所・エピソードが形づくられます。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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