人のマネして学ぶ

社会人になると多くを求められるコミュニケーション。 それは、人によって得意なことでもあれば、苦手なことでもあります。
発達障害の人たちのお話を聞いていると、コミュニケーションはどちらかというと苦手な分野のようです。

ただ、社会に出ると一人で働くことはできないので、人とよい関係を築きながら働くためにもコミュニケーションはある程度うまくできたほうがいいですね。
対策のひとつとして、コミュニケーションがうまい人の「マネをする」と少しはうまくなる可能性があると思います。
今日は、そんなお話です。

例えがあまりよくないかもしれませんが、 小さい子どもは大人のマネをすることがよくあります。
しゃべり方や口調、しぐさ、お行儀よくするなど、見よう見まねで覚えていくことは多く、身近な人の言動をよく見ていますね。
また、アニメやゲームなどに出てくるキャラクターに影響を受けることも多いようで、最近だと何度もYouTubeを見て好きなキャラクターの言動をマネするなんてことも珍しくないです。

これは、身近な人や動画など、自然な形で視覚的に学んでいるからです。

発達障害の人は想像力に障害特性があるため、見たことないことや未経験なこと、自分にとってよく分からないことなどをイメージすることは難しく、学習が深まっていくことも難しいと思います。
ただ、視覚優位の特性があるため、「見て学ぶ」「経験から学ぶ」ことはとても得意です。
そのため、「人のマネをする(模倣する)」ことで、社会人として求められることを自然な形で学習できる可能性があるように思います。

社会人になってからも「マネできそうなこと」をいくつか挙げてみたいと思います。

<挨拶の仕方をマネする>
朝の挨拶は1日の始まり。明るく、ハキハキと、笑顔で行うことが大事です。それを日々実践している人をマネしてみるとよいでしょう。

<言葉遣いをマネする>
言葉遣いは、正しい敬語で丁寧に話すことがポイントです。加えて、相手の立場も考えてゆっくりと話したり、分かりやすい言葉で話したりすることも大切です。そんな話し方をしている人のマネをしてみるとよいでしょう。

<報連相をマネする>
報連相は、ただ単に担当業務について報告や相談をするだけでなく、報連相を通して上司や同僚などと円滑なコミュニケーションをとるための手段でもあります。ここでは上司や同僚と円滑に関わるためにどんなタイミングで、どんな話し方で報連相を行っているかがポイントになると思います。こまめに報連相する、相手のタイミングを聞いてから話しかける、相手の近くまで自分が移動してから話をする、助言があった場合は感謝の言葉を伝えるなど、円滑にコミュニケーションをとっている人をマネしてみるとよいでしょう。報連相はいろんな場面で使われていますので、マネをしやすい場面から少しずつ取り組んでみるとよいと思います。

<電話応対をマネする>
電話応対では、会社名や自分の名前の伝え方、要件の聞き方や取り次ぎ方など、基本的には職場で決められたマニュアルを遵守して進めることがポイントだと思います。それと、電話の相手が話している内容を忘れないために、聞きながらメモをすることもポイントになるかと思いますが、これは同時並行処理が苦手な人にとっては不向きなことでもあります。
ここでは、電話応対時の話し方やマニュアルの遵守、メモの書き方(効率よく端的に書く方法)などについて、マネをしてみると上達できるかもしれませんね。
電話応対は、人によっては難易度が高いテーマでもあるので、少しずつ取り組んでみてください。

<生活スタイルをマネする>
生活のスタイルは、人によってさまざまです。他者から見れば改善したほうがいいと思うことでも、自分自身にとっては課題認識が低いこともあります。なので、自分なりに「困っているから改善したい」と思うことからマネをすることがポイントだと思います。
僕の場合、以前は不健康な生活習慣だったこともあり、自分なりに少しずついろんなことを試してみました。そのときは、テレビで取り上げられていたタレントの生活スタイルとして「毎日◯◯をしている」といったことをマネしたり、雑誌等に書かれていた好きな経営者の生活スタイルをマネしてみたりしました。自分のスタイルに合わないこともありましたが、まずはやってみることで自分なりに気づくこともあります。自分の生活スタイルに無理なく取り入れることができれば、マネをしやすくなると思います。

<笑顔をマネする>
前回の「じぶん学のチカラ」(http://hataraku-chikara.jp/information/hoshi03/)にも書きましたが、いつもニコニコと笑顔でいること、柔らかい表情をしていることは、自分自身にとってとても良い効果をもたらします。また、職場にとっても雰囲気が明るくなり、コミュニケーションも円滑になりやすくなります。
自分の身近にいるいつも笑顔な人や、爽やかな人、好印象な人を探してみて、振る舞いや仕草、顔の表情などを観察し、できそうなことからマネをしてみるとよいでしょう。
めちゃくちゃ無理矢理に……とは言いませんが、意図的に笑顔で過ごしてみることは周囲にとって迷惑なことではないですし、笑顔でいることで自分自身の気持ちも少しずつ晴れやかになっていくと思います。

さて、いくつかの具体例について、僕なりに意見を述べてみました。
でも、マネをする上で注意点もあります。
それは、「マネをする人」がその場や状況に応じた言動、振る舞い、コミュニケーションなどを適切な方法で行なっていることが前提であるということです。
ですので、それらが不適切なものであれば、決してマネをしてはいけません。

適切か不適切かを判断することは少々難しいと思うので、分からないときは身近な人に相談をして他者の意見も聞きながら「マネをする人」として適切かを判断すると良いと思います。

また、もうひとつ注意点があるとすれば、マネをする人のことを過度に観察しすぎないことです。
理由は、必要以上に観察しすぎてしまうと、相手に不信感を与えてしまい、あなたとの関係が悪化する可能性もあるからです。
長時間の観察とならないよう、注意してもらえたらと思います。
人は誰でも、誰かに影響を受け、誰かのことを無意識のうちにマネしながら育ってきているように思います。
「人のマネをする」ということは、社会人になるために必要なことを無理に勉強したり考えたりしなくていいところがとても良いところであり、楽なところだと思います。

ですし、マネをする人が自分にとって「憧れの人」「目標となる人」「信頼できる人」「尊敬できる人」などのような存在だとなお良いですね。

まずは「マネをする人」を探してみてください。
きっと、自分の身近なところにいるように思います。

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星明 聡志

【星明 聡志】

社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか、所長(2014年より現職)。
学校を卒業後、障がいのある人の地域生活支援の仕事をして10数年。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援など、ライフステージごとの色んな支援に携わってきた。最近は、「ASDのある人の自分らしい働き方・生き方をデザインすること」を自分のテーマとし、型にはまらない生き方の良さを創造しようと日々奮闘中。ライフワークとして楽しみながら働くことをモットーとしている。
趣味は、登山、散歩、読書。1時間近く半身浴しながら読書することが日々の至福のひと時。今年は、北岳、仙丈ヶ岳、槍ヶ岳への登頂を目標に、マイペースにトレーニング中。