New大学生のうちに障害者手帳を取得する?

“大学生のうちに障害者手帳を取る”ということについて

今回は、障害者手帳について書いてみる。発達障害のある方は
「精神障害者保健福祉手帳」という種類の障害者手帳を取ることが多い。私も以前持っていた(2年更新なのだが更新しなかったため、今はない)。

障害者手帳についての一般的な情報は以下が参考になる。
<障害者手帳を取得する>

今回は特に、大学生で障害者手帳を取るということについて、考えてみたい。
発達障害による生きづらさを大学で感じている方は、医師の診断がある場合、様々な条件があるが障害者手帳を取ることができる可能性がある。

大学生が障害者手帳を取得するメリット

では、大学生が障害者手帳を取得するメリットはあるのか?

まず、勘違いされがちだが、障害者手帳の取得は大学の学業で必要な配慮を受けるための必要条件ではない。
障害のある方は、大学に対して合理的配慮(障害のある方が抱える困りごとに対し、個別に対応・調整を行うこと)※1を求めることができる。その合理的配慮を受けるためには手帳は不要である。
よって、大学生活をよりよく過ごすという目的のためだけであれば、障害者手帳は必要ではない。

大学生が障害者手帳を取得する最も大きなメリットは、障害者雇用による就職の可能性が広がることだ。
発達障害のある大学生は、就職活動で苦労せず内定を得る学生もいるものの、就職活動で非常に苦労をする学生が多い。
詳しくは、<障害者雇用での就職活動>に書かれているが、採用されやすさ、入社後の定着しやすさを考えると、発達障害のある学生にとって障害者雇用は大きな選択肢となり得る。
障害者手帳は取得に時間がかかる。精神科医師の初診から数えると1年近くかかることもあるので、大学の早い段階から取っておくことは損ではない。

では、デメリットは?→ほとんどないと考えていい

ただし、発達障害のある大学生に障害者手帳の話をすると、乗り気でない場合も少なくない。話を聞いてみると、障害者手帳をとらない理由は、
①心理的ハードル②周囲バレへの恐怖、の2点が主な原因であるように思われる。

①心理的ハードルについて

障害者手帳を取ると「自分が普通でなくなるような気がする」「そのまま甘えてしまうような気がする」と、ある学生から聞いたことがある。

確かに、私も障害者手帳を取得するか迷っている時には同じような抵抗感を感じていた。自分が心から“障害者”になってしまうのではという、謎の恐怖もあった。
しかし、障害者手帳を取得しても、私は何も変わらなかった。
障害者手帳程度でよくも悪くも簡単に人の心持ちは変わらないと思う。

私の知る範囲では、“障害者手帳をとった”という事実だけで、自分についてのイメージが大きく下がった人は聞いたことがない。(家族がショックを受けるケースは聞いたことがある)

心理的ハードルで迷っているなら、ひとまず障害者手帳を取ってみるといいと思う。それで自分の心持ちが良くない方向に変わったのであれば、2年後更新しなければいいだけだ。

②周囲バレへの恐怖について

ある学生が「障害者手帳を持っていることを周囲に知られるのが怖い」と言っていた。こちらも私は良くわかる。障害者手帳を取ったことをバレたら、友達から白い目で見られるのではないか、娘がイジメられるのではないかと本気で心配した。結論から言うと、自分から言った場合を除いて、誰にもバレなかった。

障害者手帳を取ったとしてもその事実は誰にも伝わることがない。働いている企業にもバレないし、通っている大学にもバレない。
だから、自分が言い出さない限り障害者手帳取得の有無については、他者に伝わることはない。

困りごとの相談で相談室のカウンセラーの方、就職活動の相談で就職課のキャリアカウンセラーの方に障害者手帳のことを言うこともあるかもしれないが、その方が障害者手帳の有無について、他の方に言うことはまずない。
(あったら大問題になる)

私は複数の大学で非常勤講師を務めている。配慮が必要な学生については事前に情報を聞くことがあったが、その学生の手帳の有無は一度も聞いたことがない。現在の大学は個人の繊細な情報の扱いにはかなり慎重なのだ。

友人や発達障害について詳しくない大学教員・職員に障害者手帳のことを話すと、噂が拡散するリスクは確かにある。逆に言うと、障害者手帳を取っても、専門性のある方々(相談室のカウンセラーの方、就職課のキャリアカウンセラーの方)以外に言わなければ、基本的に周囲にバレる可能性はほとんどないと言ってもいいと思う。

障害者手帳を取ることは、発達障害のある学生にとって難しいことに感じるかもしれない。しかし、デメリットはほとんどない。
迷うのであれば、取ってみることを私はオススメしたい。

※1
2018年時点で、国公立大学は義務、私立大学は努力義務です。しかし私立大学も多くの大学で合理的配慮が受けられます。ただし、大学側の「過度な負担になりすぎない」範囲での対応なので、当事者からの意向が全て受け入れられるわけではありません。

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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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