発達障害と才能とやり抜く力(GRIT)

飽きっぽさ、好奇心旺盛さを自分のキャリアに取り込む方法とは?」の続きのようであり、全く違うようでもある内容です。

どうも私の関心領域として「発達障害のある方がいかに才能を開花させていくか」というものがあるようだ。気がつくと発達障害と才能に関する記事ばかり書いている。
なぜだか考えてみると、自分の才能を発見し開花させるために頑張ってきた私の過去があり、発達障害があると思われる方々が自分の才能を開花させ大活躍しているのを横目で眺めた過去があり、発達障害があり自分の才能を発揮しようと模索を続けている方と出会う現在があるからだ。そして、発達障害がある全ての方は、自分の才能を活かして大活躍できる素養があるという信念もあるからだ。

GRIT(やり抜く力)とは

そんな、発達障害のある方が才能を発揮するために大きなヒントになりそうな概念の一つがGRITだ。ペンシルベニア大学教授のアンジェラ・ダックスワース博士が提唱する「やり抜く力」のこと。過酷な状況で耐え抜く可能性、スキルの獲得の速さなどとGRITは高い相関関係があることが研究で実証されている。2016年にアンジェラ・ダックスワース博士の本が出版され、日本でも一部で大きな話題を呼んだ。※1

このGRIT(やり抜く力)と発達障害の関係について考えてみたい。
まずGRITを考える上で、下の2つの式が重要になる。

・才能×努力=スキル
・スキル×努力=達成

才能は努力をしないとスキルにならない。そして、得たスキルを更に努力して活用していかないと達成=成果に結びつかない、というものだ。そして、この努力を継続し続ける力こそがGRITである。

努力を継続していく重要性を私は身にしみて感じる。私は講師を生業にしているが、世の中にはとんでもなく凄いレベルの講師がいる。
私には講師としての師匠が2人いるが、2人とも私から見たら化物レベルだ(失礼!)。

最初はこの2人は特別な人なのかと思っていたが、長く付き合うようになって見えてきたものがある。2人とも努力家なのだ。すでに十分高いレベルの研修ができ、十分な仕事があるのにまだ学び続けているのだ。2人とも高いレベルのGRITを持っている。

ではGRITをもう少し詳しく見ていく。GRITは「情熱」と「粘り強さ」に分けられる。

情熱

自分が取り組むことに「情熱」を持つためには、自分のやっていることを心から楽しみ(興味)、自分の取り組んでいることが重要だと感じる(目的)ことが大切になる。

粘り強さ

「粘り強さ」を持つためには、日々の努力を怠らないこと(練習)、もっと良くなると考えること(希望)が大切になる。

そして、これらの要素は高めることができる。GRITは伸ばすことが可能なのだ。伸ばし方は本に書かれているので、興味のある方は是非読んで欲しい。

発達障害のある方にとってのGRITの重要性

発達障害のある方にもGRITはとても重要だ。
発達障害のある方は凸凹があるので、平均的にどんな仕事もすることは難しい。そのため、活躍しようと思えば、自分の本当に得意な才能のある部分を伸ばしていくことが求められる。
先ほどの式のように、才能を成果に結びつけるためには努力が必須だ。その努力を続けるためにGRITを発揮する必要がある。

では、発達障害のある方がGRITを発揮する上で、注意点はないのか。私は2つあると思っている。

練習の継続性

まずは練習の継続性だ。特に、ADHDのある方は、衝動性の高さゆえ粘り強さにかけることが考えられる。
日々たゆまぬ努力をすることが苦手である方も多いのではないだろうか。

そんな時、解決策は3つある。

(1)意志力を高めること。
練習を可能にするのは意志の力だが、意志の力は鍛えられることがわかっている。ADHDがあったとしても、意志力を鍛えればそれなりに自制が働くようになる。例えば、少し時間があるときに背筋を伸ばし続けるだけで、意志力を高めることができる。
(2)本当に重要なテーマに取り組むこと。
「情熱」を持てるテーマに取り組む場合、自然と努力を行うことができるようになる。
(3)「やらざるを得ない環境」に身を置くこと。
自分がやらざるをえない環境に身を置くと、人は動くことができるようになる。
 

ADHDでサボり癖のある私は、(1)(2)(3)の全てを使っている。特に(3)が私には効果的である。例えば、勉強しないといけないテーマのワークショップを開くと宣言し、参加者を募ってやらざるを得ない環境に自分を追い込む。となると、参加者に満足してもらわないといけないから必死で勉強する。そうして勉強しないといけないテーマについて、ある程度の知識を得ることができる。

このように、ADHDの方で練習が不得手な方も、工夫次第で練習をすることができるようになる。

情熱の方向性

もう1つの注意点は、「情熱」の方向性だ。特にASDがある方はこだわりが強い場合が多いが、そのこだわりが本人にとって幸せなものでなく執着に見える時がある。

モントリオール大学のロバート・バレランド教授によると、情熱は「調和的情熱」と「執着的情熱」という2種類に分けられる。

調和的情熱の場合、その人は大事な目標の中にも外にもどちらにも楽しみを見出すことができる。一方で、執着的情熱の場合は取り組むこと自体が目標になり、本人にとって苦痛になっている場合も多い。

執着的情熱になっている場合は、情熱の中身を見直すことも重要だ。自分が今は何に興味があるのか、自分がそれに取り組む意味は何なのか。それらを考えることで、取り組んでいることに新たな側面が見えてくるかもしれないし、取り組みを変更しようとなるのかもしれない。

以上のようにGRIT(やり抜く力)の重要性を考えてきた。才能を発揮するために必要な努力をやり抜くことは非常に重要だ。そして、その努力を超えた先に、素晴らしい達成が待っている。

 

※1アンジェラ・ダックワース(著)
「やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける」ダイヤモンド社・ 2016

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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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