“人”を大事に、社会で輝く人材へ

企業・団体名:株式会社ベル
https://ai-kando.jp/

株式会社ベル 集合写真

「挑戦は大事ですが、無理はせずに支援者とじっくり相談し、自分の得意なことを活かせる会社で実習や就職をしてほしいです」そう語ってくださったのは、大阪・東京で総合ビルメンテナンスと鳥害対策事業を展開する株式会社ベル。2016年度、発達障害のある方の職場実習の受入れと雇用を実現しました。採用に至るまでどのようなエピソードがあったのでしょうか。アップフロント兼業務部マネージャーの山崎知子さんにお話をうかがいました。

人間の本質は優しさ

Q.障害者雇用・インターン受入れに取り組むきっかけや目的はなんですか?

山崎:「存在そのものが社会貢献となる会社になりたい」という社長の意向があります。当社はモノがないサービス業なので、とにかく“人”を重視。「大切にされた社員がお客様を大切にできる」という思いのもと、 “人”をずっと大事にしている会社なんです。そして、地域に貢献しようと考えたときに、能力があってもコミュニケーションが苦手なため働けずに困っている“人”の自立を応援できないかと10年ほど前に地域の支援ネットワークから障害のある方を1名受入れました。とても真面目でしたが少し浮き沈みのある方だったので、周りの社員も自然と気遣っていましたね。働く経験と実感を得て、その中で関わる人たちの温かみも感じてほしい。また当社の外に出ても、周りから信頼される立派な人になってほしいと思いながら共に仕事をしていました。その方は1年で会社を離れましたが、その経験から、会社にも障害のある方を自然に受入れられる土壌ができました。

その後なかなかご縁がなかったのですが、2016年ミライ企業プロジェクト(※)のつながりで株式会社Dreamsさん([link]Dreamsインタビュー記事へ)から大阪の就労移行支援事業所を教えていただきました。実習を経て7月に女性のAさん、10月に男性のBさんを採用しました。

※ ミライ企業プロジェクト……2013年発足。未来を創る地域企業を「ミライ企業」とし、企業と未来を担う若者が共に活躍できる機会を創造するプロジェクト。ミライ企業図鑑(http://miraikigyouzukan.jp/)を運営。

アップフロント兼業務部マネージャー 山崎知子さん
Q.採用された方の仕事内容はなんですか?

山崎:Aさんは、データ入力、商品の製作、ファイリング、発送業務、洗濯、お茶出しと幅広く業務を担当しています。当社には、「ありがとう」という社内報があります。現場で清掃に携っている「クリーンキーパー」さんの声と、それに対する本部社員の返事を一緒に掲載している月刊の通信です。そのデータ入力作業は得意らしく、一度担当したらすぐ覚えていました。鳩対策で使用する大きなネットを決まったサイズに切断する作業も、もう一人で担当しています。(業務時間:9時~17時)

Bさんは、倉庫内で仕事をしています。当社には玄関マットやモップを貸出しするレンタルマット事業部があります。そちらで取り扱うマットは週2、3回業者へ洗濯に出しています。そして、彼には業者から返ってきたマットをサイズ・種類ごとに棚に戻す作業を担当してもらっています。お客様へ配送する車に積んだり、帰ってきた車から下ろしたりする作業もします。マットは何百枚もあるので体力仕事ですが、事務よりも体を動かす作業のほうが得意だと、この仕事を選びましたね。(業務時間:12時~18時半)

鳩対策用ネットを取り付ける道具「ピッタンコ」 製作風景
Q.受入れをする中でよかったことや、周囲の変化などありますか?

山崎:やはり、みんなが優しくなりますね。Aさん、Bさんや実習生が落ち込んでいるように見えたら、みんなが次々に声をかけています。「人事だから」「総務だから」人の面倒を見るのではなく、一緒の空間にいるから気にかける。私も「この社員がこんなに優しかったんだ」と思うことがあります。気難しいと思っていた社員が、心配したり穏やかに話を聞いていたりするところを見かけると嬉しいですね。「人間の本質は優しさ」だとひしひしと感じます。

魅力的な“人”に成長してほしい。

Q.受入れをして難しいと感じたことはなんですか?

山崎:社員にもクリーンキーパーのみなさんにも、ミスなどで生じた細かい変化は報告してもらうように頼んでいます。「言ったら怒られる」ということでは誰も報告しないと思うので、報告したことを褒めるように心がけています。そういった雰囲気を作れば、Aさんたちにも伝わるかなと思っていたのですが、まだ隠そうとするんですよね。不自然なところにぽんと紙が置いてあって、「水こぼしたの隠したやろ」みたいな(笑)。隠していると自覚していないのかなと思います。なんと言えば伝わるのだろうか、と考えさせてくれます。それもまた勉強ですね。

Q.受入れの際に大切にしていること・心がけていることはなんですか?

山崎:雇用や実習で受入れる方の障害や接し方などを事前に調べて社員と共有したり、障害者雇用の勉強会を開いたりしています。あとは、楽しく。誰でもそうだと思いますが、新しい職場に行くときは緊張しますよね。どういう人がいるんだろうとか、何をしたらいいんだろうとか不安は尽きない。そういう心配なく、安心感を持って楽しく仕事ができるようにサポートしています。

また、自分の魅力を発見してほしい、とも考えています。「細かい作業が苦手だと思っていたけど、実際にやってみたらとても楽しかった」「笑顔でいることや、大きな声を出すことが得意だ」と、何か自信になるものを見つけてもらえたら。社員にもさまざまな事情があって、ずっと当社で働くとは限らない。次の職場に行ったときに「すごいなこの子は」と感心されるような魅力的な人に成長してもらいたい。「ベルの●●さん」ではなく「●●さん」というその方自身に価値を感じられるような、輝く人材になってくれたらと思っています。

社内の様子
Q.今後の方針や将来像をお聞かせください。

山崎:当社では、現在クリーンキーパーとして障害のある方を採用することはしていません。一人で入る現場が多く、お客様から相談を受けたり仕事に不明点が生じたりした場合、判断に困ってしまうのではと思うからです。そこで今考えているのが親子での雇用。身近な人が現場で一緒にいてくれれば、安心感もあるうえ、その方の成長もわかる。仕事に慣れ、一人でもこなせるようになったら離れて見守ればいい。仕組みが整えば今の段階でもできるのではないかと検討中です。

あとは、商品の発送業務を社内で行うことも考えています。今は別の業者に在庫の管理や発送を依頼しているので、それらが社内でできれば効率もよくなるのではないかと。発達障害のある方の中にはコツコツと同じ作業をこなすことが得意な方もいらっしゃいます。今後雇用する方や、実習に来る方に適する業務を見つけ、就労に協力していきたいです。

就職活動に取り組む皆さんへ

jae_face01 自分に合う会社もあれば、合わない会社もあります。「実習に行ってみたけれど、雰囲気が苦手」「業務が思ったようにこなせずとても苦しかった」そういったネガティブな印象を抱いてしまったら、今後の就職活動へのモチベーションに影響が出るかもしれません。挑戦は大事ですが、無理はしないようにしてほしいです。支援者とじっくり相談し、自分の得意なことを活かせる会社で実習や就職をしてほしいですね。
jae_face01 Bさん:落ち込んでも、自分に負けないこと。就職する前も、してからも、落ち込むことはたくさんあります。調子を崩したときは、パソコンや軽作業など、自分にできることから取り組んでいく。目の前の課題をこつこつこなしていけば自信もつき、「ここ一番でふんばる力」が手に入ると思います。とにかく、明るく元気よく。落ち込んでも翌日は爽やかに挨拶するように努める。「頑張ります、よろしくお願いします」と笑顔で言うことができたら、もう怖いものはないと思います。
企業・団体名 株式会社ベル
所在地 〒578-0983 大阪府東大阪市吉田下島14番7号
HP https://ai-kando.jp/
事業概要 「愛と感動のビルメンテナンス」をコーポレートスローガンに掲げ、清掃管理・受付管理・商品レンタルなどの総合ビルメンテナンスと、鳩被害対策工事などの鳥害対策事業を大阪・東京で展開する。「ありがとう!」「そこまでするか!」「さすがプロ!」と感動していただける仕事をすることがモットー。