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「足りなさ」「難しさ」が成長の鍵。

企業・団体名:株式会社Dreams
http://popcorn-papa.com/

株式会社Dreams集合写真

「ご自身のペースで前に進んでいってほしいです」そうエールをくれたのは、ポップコーン専門店「ポップコーンパパ」を展開する株式会社Dreams。様々な支援機関と連携してインターン生や施設外就労の受入れ、企業見学など、障害のある方の「はたらく」をサポートし、現在は障害者雇用に向けた準備をしています。どんな思いで受入れているのでしょうか。代表取締役の宮平崇さんにうかがいました。

いろんな人がいた方がいい。違うからこそ価値がある。

Q.就労移行実習生受入れに取り組むきっかけや目的はなんですか?

正直あまり覚えていません(笑)。 単純に、一緒に働いてみたかったんだと思います。今まで、いろんなことに対して、それが「大事」と感じたら取り組むようにしてきました。きっと受入れの話があったときも同じだったんだと思います。障害のある方が社会にいる。そんな当たり前の中で、障害のある方と一緒に働いていないということに不自然さも感じたのかもしれません。

Q.就労移行実習生の仕事内容はなんですか?

今、福祉事業所の施設外就労として数名、就労移行の実習生が3名、少し前は特別支援学校や大学から実習生を受入れていました。施設外就労で来ている方々は、主にポップコーン製造をしてくれています。とても仕事が丁寧ですね。インターン生の業務はそれぞれ違います。1人は、物流を担当しています。本部から各店舗へ車で原材料や商品を運ぶという内容です。2人目は、製造の現場でポップコーンづくりを。3人目は、デザインが得意な方なので、ニュースレターや販促物を作ってくれています。また、来年採用予定の知的障害のある方は製造もしますし、今スタッフと接客に向けた練習もしています。

Q.受入れをしている中で、難しかったことや不安だったことはありますか?

「どのように受入れ、一緒に働いていけばよいのか?」初めて受入れる際は、私も含めた当社のスタッフ一同に漠然とした不安がありました。まだ正規で障害者雇用はしていませんが、この不安はこの先もずっと残っていくのだと思います。でもそれは、障害のある方を受入れるからという理由ではありません。どのスタッフも一緒です。どんな方が入ってきても、不安はつきものです。完璧な人なんていません。みんな何か足りないんです。でも、僕はその「足りなさ」があるからいいと思っています。「足りなさ」があるがゆえに経験してきたことがある。だからこそ、人の気持ちになって考え、優しい気持ちにもなれると思います。いろんな人がいた方がいい。違うからこそ価値があるんです。

Q.職場実習の受入れをする中でよかったことや、周囲の変化などありますか?

とは言え、やはり障害があるがゆえの難しさもあると思います。でも、彼・彼女らは難しいなりに考えて、ひたむきに仕事をされます。その様子を見て、周囲のスタッフが「自分も頑張らないと」と励まされることはよくあります。一緒に働き、彼・彼女らの仕事ぶりから自分の足りていないところにも気づく。そして、その方の成長を通じて自分が成長する。それって難しさがあるからこそできるんですよ。簡単に何でもしてくれて、指示を聞いてくれる方だったら、教える側も周りも成長しない。簡単だったら意味ないんですよ。 あとは単純に、人手が足りていないので大変助かっています。普通に仕事をお願いしますし、普通に注意もします。なので、障害のある方が来たから特別によかったということではなく、普通にチームのメンバーが増えてうれしいのと同じ感覚です。

代表取締役 宮平崇さん

使命感を与えてくれることに感謝

Q.受入の際に工夫・配慮・大切にしていることはなんですか?

どんな方へも配慮はします。でも、障害がある方へはより配慮しているかもしれませんね。過集中気味になってしまい、体調に悪影響が出る方もいらっしゃいます。あまり疲れすぎないように作業や休憩の時間は調整しています。強い口調が苦手で引きずってしまう方もいらっしゃるので、言い方の工夫も心がけています。 環境面では特に変えたことはありません。障害のある方を受入れる前から、誰が来ても働きやすい環境づくりのために、3S(整理・整頓・清掃)を徹底し、物の配置を決めておくなどの「構造化(*)」にも取り組んできました。抜群にできていると自負があります。なので、いざ障害のある方を受入れてみても、みなさんスムーズに作業することができました。また、施設外就労の方が働く場として、ビルの1フロアを使っています。もともと何もなかった部屋なので、施設の方が工夫して、障害のある方が働きやすい様につくり上げてくれています。

*構造化・・・自閉症支援において「周囲の環境やかかわり方をより視覚的・具体的・明瞭にして、系統的に整理することで、世の中の状況を自閉症の人にわかりやすく伝える作業」のこと。 (引用元:自閉症eサービス)
引き出しの中は、文房具の位置が決まっている
製造現場の洗い場。壁に写真を貼り、物の配置が視覚的にわかるようにしている。
Q.受入れにあたっての将来像や今後の方針などお聞かせください。

各店舗・各部署に、障害のある方が一人か二人は、一緒に働いている状態にしたいと考えています。現在のインターン生も雇用する予定です。まずはアルバイトから、その後ご本人の希望を確認して、本採用へと段階を踏んで慎重に。お互いが幸せな形で、これからも一緒にお客様に喜んでいただける会社をつくっていきたいです。 障害があるがゆえの難しさがある中で、当社を選んでくれる。そうなると、親御さんの安心にもつながるように会社を維持経営しないと、とより使命感が湧いてきます。「守ってあげないと」なんて偉そうなことを言う訳ではなく。そういう使命感を与えてくれることに、ただただ感謝しています。また現在は、福祉事業所の事業づくりもお手伝いしています。きちんと採算がとれ、かつお客様が満足できるサービスを提供する店舗を目指しています。障害のある方々が主役になれるよう、これからもサポートしていきます。

就職活動に取り組む皆さんへ

jae_face01 仕事に就けることへの感謝の気持ちを大事にできる人が魅力的です。今までの様々な経験が、仕事へのありがたみや誇りをより一層大きくしてくれます。障害のあるなしに関わらず、自分に「足りなさ」あるからこそ、持っている優しさや思いやりの心を大事にしてください。
ポップコーンパパのブランドブックを見せていただきました。
企業・団体名 株式会社Dreams
所在地 〒540-0005 大阪市中央区上町1-3-10
HP http://popcorn-papa.com/
事業概要 「ポップコーンを通して、たくさんの人にHAPPYをお届けしたい!」そんな想いで、ポップコーン専門店「ポップコーンパパ」を3店舗(大阪)とオンラインショップで展開。日本人好みに味付けした32種類のポップコーンを一つ一つ丁寧に手作り。子どもがポップコーン屋さんになれるイベントなども実施し、笑顔溢れる美味しさと、ワクワクする楽しさを届けている。

インタビュワーの感想

今回のインタビューでは「働くチカラPROJECT」の参加学生と一緒に取り組みました。

印象に残ったのは、スタッフ全員が仲間意識を持って、支え合いながら仕事に取り組んでいること。社長が目指す会社の方向性を強く感じました。障害のある人もない人も、同じように働くことでお互いに刺激となり、向上心や思いやりが生まれるという発想が素晴らしいです。そして社長も、会社を守るという使命を抱いていると聞いて、社長の前向きさ、働く障害のある方々のひたむきさが社内によい影響を与えているんだなと感じました。

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