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その熱意が未来へ繋がる

企業・団体名:株式会社IES
https://ies-japan.co.jp/

株式会社アースエンジニアリング関西

「『働きたい意欲』が最も重要だと思います。絶対にいつか働く、という強い意志で経験を積んでほしい」そう語ってくださったのは、工場や事業所向けに省エネ事業・設備メンテナンス業務等を手掛ける株式会社IES。現在、発達障害のある方を1名雇用し、実習生も多く受入れています。そこにはどんなエピソードがあったのでしょうか。専務取締役の前川宗俊さんにお話をうかがいました。

働くことに自信をつけてほしい

Q.障害者雇用・実習生受入れに取り組むきっかけや目的はなんですか?

実習を受入れたきっかけは、発達障害のある方の就労支援をしている前職の先輩に、「受け入れてみないか」と声をかけてもらったことです。当社は試しになんでもやる会社なので、断る理由もなく、さっそく来てもらいましたね。発達障害の知識はほぼありませんでしたが、特に不安はありませんでした。むしろ、不安だったのは実習生の方ではないでしょうか。

2014年エンカレッジ京都から初めて実習生を受入れました。その実習生がとても優秀で驚いたのを覚えています。Excelの関数を駆使した見積もりツールを作ってくれたんですよ。その後も、手先の器用な方や集中力の高い方が来てくださり、優秀な方が多いと感じました。そして、2015年に受入れたAさんを実習後に採用しました。実習を受入れた時点では、採用するつもりはなかったんです。でも、Aさんが「自分はこの会社で役に立てる。よければここで働かせてほしい」と熱く語ってくれて、その熱意を買って採用することになりました。

Q.採用された方・実習生の仕事内容はなんですか?また、仕事を任せる際に大切にしていることはありますか。

採用者(Aさん)と実習生の仕事内容は違います。Aさんは主に、補助金申請に必要な資料作成を担当しています。役所に提出する重要な書類も作っていますね。発達障害があるからと言って特別扱いせず、他の社員と同じレベルの仕事を任せています。雇ったからには、もう我が社の一員。事業を営む上で欠かせない仕事をきっちりやってもらっていますね。

実習生には、データ入力や名刺整理、部品仕分け等を担当してもらいます。タイミングによっては、作成した資料の誤字・脱字チェックを行ってもらうこともあります。時間がかかり根気もいる業務ですが、発達障害のある方にはそういった緻密な作業が得意な方も多いので担ってもらっています。

そういう風に、誰にでも得意・不得意はあると思うのですが、実習生にはその人が得意そうな仕事を任せるようにしています。せっかくなら、働くことに自信をつけて帰ってもらいたいので。実習後にお渡しする評価表も、僕の評価はほぼA(セールスポイント)です。でも、全部Aも何なので、改善したほうがいいかなと思う部分だけB(できる)にしています(笑)。他に心がけているのは、なるべくその人の今後に役立つコメントを書くこと。たとえば実習生がミスの多さを気にしているなら、「ミスなんて誰にでもあること。そのミスに気付けるかが重要」と書きますね。

専務取締役 前川宗俊さん
Q.受入れをする中でよかったことや、周囲の変化・本人の成長などありますか?

Aさんの直属の上司は、指示が伝わりにくい等で苦戦しているようですが、同時に成長もしています。というのも、的確に指示を伝達するためには、相手より自分を変えるほうが合理的です。1言ったら10わかる人もいるかもしれませんが、Aさんのように臨機応変な対応が苦手な人には順序立てて説明しないと伝わらない。でも、本来はどんな人にも丁寧に説明するべきなんです。指示が明確で詳細だと人も動きやすくなる。発達障害のある方と共に働くことで、人を活かすスキルが上がったり、周囲に気を配れるようになったりしていくと思います。

一方Aさんは、経験を積んで頼もしくなりました。当社は工事や機器のメンテナンスなど業務が多岐に渡っているので、Aさんにもたまに現場で作業をしてもらいます。そういう風にいろんな経験をすることで、先入観から「これはできない」と判断を下すことも減る。他のところに行っても、ある程度のことはできるようになったんじゃないでしょうか。どんな職場でも適応する力が育ったと思います。あとは、周囲に気を遣うのもうまくなりましたね。日々の仕事から自然と学んでいるのだと思います。

素直さは働く上での強み

Q.受入れの際に工夫・配慮・心がけていることはなんですか?

発達障害があるという理由で、特別な工夫や配慮はしていません。覚えが早い・遅いなんて誰にでもあるし、得意なこと・苦手なことも人それぞれです。少し前まで学生だった、通常の新入社員と呼ばれる人たちと変わらない。技術や作業効率の伸びも、本人というよりは教える人次第ではないでしょうか。

もしかしたら、私も無意識のうちに工夫や配慮をしているのかもしれません。でも、「こうしないといけない」等は思っていませんね。相手の趣味の話を聞く、くらいは意識していますが、それ以外は特に……。余計なことを話しかけて、逆に邪魔しているんじゃないかと思うときもあるくらいですね。

Q.発達障害のある方と共に働いて感じること。

発達障害のある方は、素直な方が多いですよね。素直さは働く上での強みだと思います。Aさんも素直さゆえ、何か言うときはストレートです。ストレートなのはいいことだと思いますよ。多くの人なら呑み込んで言わないことも言ってくれるので。時に問題への重要な指摘もあるので、しっかり受け止めます。ここに来た実習生の中にもとても率直な方がいました。「ここで働いたら?」と誘ってみたら、「いいです」ときっぱり断られたこともあります(笑)。

社内の様子
Q.受入れにあたっての将来像や今後の方針などお聞かせください。

発達障害のある方の採用は、障害者雇用だと特別に意識しているわけではありません。障害のあるなしに関わらず、タイミングが合い、熱意やポテンシャルが当社のニーズと合致すれば受入れます。

実習に関しては、「こんな会社もあるんだ」と実習生に知ってもらえたらと思っています。発達障害のある方には、アルバイトの経験もなく、「働く」ことに漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃいます。そんな方の一歩踏み出すきっかけになれたら、と考えています。当社は、実習生の個性を考えて業務を選んだり、アドバイスしたりしますが、「障害者」として特別に扱うことはありません。その雰囲気が合うかどうかは人によると思いますが、「障害に対してこんなにフランクなところがあるんだ」と覚えておいてもらえたらいいですね。

就職活動に取り組む皆さんへ

jae_face01 「働きたい意欲」が最も重要だと思います。絶対にいつか働く、という強い意志で経験を積んでほしい。実習に行ける会社があれば、率先して何度も行く。日々の取り組みも経験の一つなので、就職活動中の訓練も「いつか役に立つ」と熱意を持って臨む。専門的な能力が求められる会社ももちろんあります。元からあるに越したことはありませんが、足りないと思うなら入社してからも努力すればいい。意欲を持って日々の活動に取り組んでください。
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着物レンタル事業も手掛ける
企業・団体名 株式会社IES
所在地 〒600-8073 京都市下京区永原町153-9 京都エステイト第一ビル 3F
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事業概要 「結果で応える 心で応える」を経営理念に、省エネ事業・FA事業(FA:ファクトリーオートメーション。工場の生産工程を機械・ネットワーク等を用いて自動化すること)・設備メンテナンス業務等を手掛ける。
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