個人の持ち味を活かし、組織とともに成長を

企業・団体名:積水化学工業株式会社
https://www.sekisui.co.jp/

積水化学工業株式会社

「まず、何が自分にとって大事なのか考えてほしいです。自分の価値観や考え方を明確にすれば、どんな働き方をしたいか、どんな会社に行きたいかが見えてくると思います」そう語ってくださったのは、積水化学工業株式会社。住宅(セキスイハイム)、インフラを整備する環境ソリューション事業、自動車・IT関連の製品開発など、幅広い事業を展開しています。2017年7月より発達障害のある方の実習を受入れ、2018年1月、エンカレッジ心斎橋より発達障害のあるAさんを採用。採用までの経緯や、企業として障害者雇用にどう向き合っているか、人事部 人事グループ 田辺信拓さんとAさんにうかがいました。

多様な人材を受け入れ、組織の活性化を図る

Q.障害者雇用・実習生受入れに取り組むきっかけや目的はなんですか?
田辺:
発達障害のある方の雇用に本格的に取り組むきっかけは大きく二つあります。一つは現在の法制度に適応させるため。今後事業が拡大していく中で、特例子会社に頼らない障害者雇用の体制を整備する必要があると思っています。そしてもう一つは、「働き方改革」(※)。今までは「新卒」「日本人男性」という社員が社内で大多数を占めていました。そこで、障害のある方や外国人、同じ新卒でも背景や考え方の違う方に来ていただくことで、業務の見直しや組織の活性化につなげたいという背景があります。

(※)ダイバーシティマネジメントを加速するため、積水化学グループは2018年を「働き方改革元年」とし、働き方改革を推進。従業員全員がそれぞれの「持ち味」を発揮できるように、限られた時間で成果を最大化する生産性の高い働き方を追求する。
【参考】積水化学工業株式会社ホームページ - CSR> 社会への約束> 働く環境
http://www.sekisui.co.jp/csr/society/work/index.html

Q.採用の流れを教えてください。
田辺:
現在実習からの採用がメインです。最初に体験実習に来ていただいて、そこで当社に合うと思った方は、次に雇用前実習に来ていただきます。面接も実施し、トータルで採用の判断をします。実習は時間がかかりますが、あらかじめ職場で業務を経験してもらうので、ミスマッチを防ぎやすい。結果、入社後もスムーズに職場に溶け込め、安定して働いてもらうことができます。現在、積水化学グループの関連会社の中で、面接のみで障害者雇用に取り組んでいる企業もありますが、業務がご本人に合っていなかったり安定して働くことができず離職してしまったりと、うまくいかないこともあるようです。なので、実習を経た採用を関連会社にも広めていきたいと考えています。
Q.Aさんは実習中、どんなお仕事をしていましたか?
A:
体験実習では、決まった業務が二つありました。一つは、過去の文書をPDF化する業務。もう一つは、午前と午後に届く郵便物を仕分けて人事グループのフロア内に配布する業務です。それに加えて随時依頼される業務で、Excelで表を作ったり、社員に常備薬を配ったりしました。雇用前実習になると、フロアの外の方にも関わって仕事をするようになりました。過去の文書だけではなく、現在の見積書・発注書・請求書のPDF化をしたり、会社の住所録をExcelでまとめたりと業務の幅も広がりました。

田辺:
採用実習のときは、違うフロアの社員や人事グループ以外の社員とも関わって仕事をしてもらいましたが、初対面の人ともコミュニケーションが取れていました。わからないことは素直に質問し、自分で考えるべきところは考えてくれて。発達障害のある方と初めて関わる社員も多い中で、そこは助かったポイントですね。
人事部 人事グループ 田辺信拓さんとAさん
Q.Aさんの採用後の仕事内容はなんですか?
A:
主な仕事の一つとして、当社に来る実習生の受入れを担当しています。顔合わせに同席して実習内容の説明をしたり、実際の業務で実習生に指示を出したりしています。実習生を担当するにあたって、面談を通じてその方がどんなキャリアを描き、どんな就職を目指しているのかを伺いたいと思っています。
実習生が実習最終日に「こんな気付きがありました」「実は僕、こういった仕事に就きたいんです」と話してくださると、意義のある時間を提供できたかな、とやりがいを感じます。そして、実習生と関わることが私にとっても勉強になっています。たとえば指示をしたときの反応があまりよくなかった場合、「今のは伝わったのかな?次はこうしてみよう」と考える機会にもなり、この仕事で私自身も「気付き」を得ています。

「実習生のAさん」から「積水化学のAさん」へ

Q.Aさんの今までの成長について
エンカレッジ支援員:
実習生受入れでは、エンカレッジで一緒に訓練していた人を担当することもありますよね。やりにくいと感じることはありませんか。

A:
初めて担当する前はそう思っていました。でも、いざやってみるとその人がエンカレッジにいた頃の印象と全く違う。

エンカレッジ支援員:
やはりどの利用者もエンカレッジで訓練しているときの顔と実習先で見せる顔は違いますし、何よりAさんの立場・関わり方が全く違うから新しい気持ちでスタートが切れるのだと思いますね。私も顔合わせに同席して、Aさんの説明を実習生と聞いていましたが、そのときのAさんはエンカレッジで訓練していた頃のAさんと別人でした。

田辺:
確かに、実習で来ていた頃と今を比べると、Aさんはとても変わりましたね。他の社員から「実習のときは学生っぽかったのに、会社に溶け込んで最近はシュッとしたね」と言われることも。社会人として成長し、「積水化学のAさん」としてのオーラが出てきたのでしょう。

A:
私自身は変わったという自覚はなく、そのままのつもりですが(笑)。しかし、エンカレッジでの訓練が今の自分に繋がっているというのは感じます。毎日のプログラムや企業研究・企業見学など、いろんな経験をしましたがどれも無駄なことはなかったなと。

田辺:
Aさんは、本当に前向きで。エンカレッジでの訓練を振り返ったり、新しいことを勉強したり、どんな些細な経験でも自分のものにして活かそうとしている。そういった積極的なところは私も見習わなければと思っています。

A:
会社自体が、できることはどんどんやらせてもらえる雰囲気というのもあると思います。

田辺:
そうですね。当社は「人ありき」で動く社風です。これは障害者雇用に限らず、一般の新卒でも中途でも同じで、その人の強みややりたいことを意識して関わるようにしています。自分の裁量で仕事をしたい方には当社は合っていると思います。Aさんの今後の成長に関して言うと、人事グループ所属なので人事系の知識に触れる機会を意識したいですね。社内の人事の決まりや、世間一般の人事部・総務部に必要な知識、最近の世の中の動き……そういったものを勉強できる機会が必要だと思っています。

A:
今も、空き時間に田辺さんから借りた本を読んで勉強しています。次は衛生管理者の資格取得を目指したいです。
Q.受入れの際に工夫・配慮・心がけていることはなんですか?
田辺:
Aさんに配慮という配慮はそれほどしていないのですが、業務の選び方は意識しています。単純作業だけではなく、自分で考える必要がある業務も任せています。単純作業を担当してもらうのは障害特性を考えると効率がいいかもしれませんが、長期的に見ると次のステップで行き詰まる可能性が高い。なので、Aさん自身が考えて進めていけるような仕事や、他の社員と接点を持って進める仕事を任せて、仕事の経験を増やしてもらいたいと思っています。

誰もが働きやすい職場をつくっていきたい

Q.受入れをする中でよかったことや、周囲の変化などありますか?
田辺:
今の人事グループは個人で業務を担当していることが多く、他の社員と関わって進める業務はあまりありません。ですが、今はAさんがいて、一緒に仕事を進めることがあります。そして、Aさんに業務を依頼するときは、今Aさんが何の仕事をどれくらい任されているのか考える。全員が自分のペースで「Aさん、これもやって」と仕事を頼んだらAさんが困ってしまいますからね(笑)。結果的に、社員が他の人の仕事を意識するきっかけになりました。
Aさんが来る前は「どんな方が来るのだろう」と不安を感じる社員もいたと思います。ですが、Aさんが前向きで真面目な方で、社内にも違和感なく溶け込んだ。実習後も、部内から「後回しにしていた仕事が片付いて助かった」「発達障害に対する考えが変わり、理解が深められた」という声がありました。Aさんを受入れてから、多様性を認められる、風通しがよい職場になったと感じますね。
Q.受入れに関して難しいと感じたことはなんですか?
田辺:
やはり、障害者雇用に取り組むうえで、社内の理解を得るのが大変でした。最初は「障害者雇用」を具体的にイメージしたことがない社員がほとんどだったんです。Aさんを受入れる前に障害者雇用に関する研修会は行いましたが、「採用の仕組みは理解したが、発達障害のある方にどう対応したらいいかわからない」という人もいました。なので、Aさんの雇用前実習の前は、担当の社員に逐一説明しにいっていました。一度実習が始まればうまくいきましたが、始まるまでにいろんな苦労がありましたね。
当の私も障害者雇用の担当になった当初は、不安や戸惑いがありました。しかし、実際に障害者雇用に取り組んでいくと、「個人の持ち味を活かして組織自体を強くする」という考え方が私の価値観を変えるきっかけになりました。
Q.今後の方針や将来像をお聞かせください。
田辺:
毎年、全社で8名以上は採用していきたいと思っています。あとは、他の部署や関連会社にも障害者雇用ができる体制を広げていきたい。障害があるかないかではなく、その方の素質や持ち味を見た採用を進めて、誰もが働きやすい職場をつくっていきたいです。

就職活動に取り組む皆さんへ

jae_face01 まず、何が自分にとって大事なのか考えてほしいです。自分の価値観や考え方を明確にすれば、どんな働き方をしたいか、どんな会社に行きたいかが見えてくると思います。会社としても自分でしっかり考えている方にきてほしいと思いますし、実際に当社でも、そういった人が活躍しています。
jae_face01 価値観が会社と合わないと働き続けるのは大変だと思うので、就職活動中は自分の強みや特性、考え方などの自己理解を深めるのが大事だと思います。
企業・団体名 積水化学工業株式会社
所在地 【大阪本社】〒530-8565 大阪市北区西天満2丁目4番4号
HP https://www.sekisui.co.jp/
事業概要 1947年創業の「プラスチック製品のパイオニア」。主に「住宅」「環境・ライフライン」「高機能プラスチックス」の3つの事業を展開している。際立つ技術と品質を強みに幅広い事業を手がけ、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献。
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