会社見学の一連のながれ

先月、先々月と続き、エンカレッジ京都三条の記事を担当します桑々です。
今回の記事では、エンカレッジ京都三条で1~2ヶ月に一度行われている会社見学についてご紹介します。
他のブログで取り扱っている内容と一部かぶってしまいましたが、ご了承くださいませ。

 

〉〉会社見学とは?

発達障害の特性の中に、「具体的なイメージが描きづらい」というものがあります。
例えば会社を志望したり職種を選んだりする際には自分が仕事をしている姿を想像するものですが、私たち発達障害当事者にとってそれは大変難しいものです。アルバイト経験がある人もいますが、その多くは飲食店やコンビニなので、「オフィスで社員として働く自分」となると途端にイメージしづらくなります。

そのため、エンカレッジに入ってから日が浅い人たちは、「実際に自分は働くことができるのだろうか」と企業や職場、働くこと、そして自分自身に対して不安を抱いていることがあります。

障害のある方が働きやすくなるためにどのような環境が作られているのか知りたい。
障害のある方が職場でどのように働いているのか知りたい。
自分が働く姿をイメージできるようになりたい。

そこで行われるのが、会社見学です。

 

〉〉どんな会社にいくの?

見学に行く企業で共通しているのは「特例子会社(※2016年7月現在は特例子会社のみなのですが、一般の会社に行く可能性もあるのだそうです)」「発達障害のある方を少なくとも一人以上採用している」「大阪か京都に職場がある」という三つです。

他の点はバラバラで、例えば企業が都会の大きなビルの一角にあるときもありますし、遠くの田舎にあるときもあります。オフィスのときもあれば、工場のときもあります。身体障害のある方がメインで働かれているときもあれば、知的障害のある方が主のときもあります。発達障害はそういった障害に比べれば認知度が低く、発達障害の方が主翼を担って働いている会社というのはまだまだ少ないのが現状です。

見学にいく会社はスタッフが前もって決めています。しかし「○○な会社を見学したい!」と意見を言うと、可能であれば汲んで下さることもあります。

 

〉〉会社に行く前の準備

まず会社へ行く前に、利用者は事前に企業研究を行います。そして、企業の業務内容や質問したいことなどをまとめます。
また、会社見学のたびに利用者の中から「リーダー」を募り、当日の最寄駅から企業への道案内や企業の方への挨拶、企業へのお土産の購入を任されたりします。

 

〉〉会社見学後の振り返り

会社見学に行ったからといってそれで終わりではありません。
会社見学が終われば、会社見学を振り返る機会もあります。企業を見学して学んだことや、印象に残ったことなどまとめ、それらを利用者同士で共有するグループワークの時間も設けられます。しかし「企業のこと」だけでなく、会社見学中の「自分の聞く姿勢」についても振返ります。

話をする人を見て、話を聞く事が出来たか。下を向いていなかったか。
うとうとしていなかったか。
肘をついて話を聞いていなかったか。
相槌はうてていたか。エトセトラ、エトセトラ……。

こういった項目を見て、過去の自分を振り返り、自己評価をします。

 

〉〉利用者の反応

会社見学後の振り返りの場面での利用者の方々の声は、弾んでいます。
「○○さんの言葉が胸に残った。自分もそれを大事にしていきたい」
「仕事がしやすいよう、またミスがなくなるように××な工夫をされていて、大変印象的だった。自分も普段の生活に取り入れていけるのではないかと思った」
「皆さんがとても生き生きと働いていた」
「『オフィスで仕事をする』ということがどういったものなのか、ようやく掴めた気がする」
「ここでなら自分も働けると感じた」――、
ぼんやりとした不安が払しょくされ、「自分が働くこと」に大変意欲的になっています。

 

〉〉おわりにかえて 会社見学についての個人的な思い

最後に、会社見学について個人的な思いの変遷を綴りたいと思います。
エンカレッジの利用者が就職されるのはオフィスだけではありません。工場や清掃といった場合も多いです。

私は、自分が思っている仕事の適性もあり、そういったオフィス以外の職場に行くこと、また発達障害のある方がほとんどいない職場に行くこと、就職に繋がらない「見学」だけであることから、会社見学に対し、始めは行く意味を見出せず、大変億劫に感じていました。
ですがその後振り返りの場で、見学にいった方々の感想や、職場でされていたさまざまな工夫を伺い、自分が思い描いていた職場や仕事でなくとも、学べることがあると知りました。以後反省し、会社見学には積極的に参加するようにしています。

もしかしたら今こちらのブログを読まれている方でも、過去の私と同様に企業見学へ行く意味を見いだせない人がいるかもしれません。企業見学の際に話して下さる方は、実際に働いている障害のある方、もしくは社長さんなど雇用をされる方です。そういった方々の話を伺い、障害のある方が実際には働かれている現場を拝見することで学べることは、皆さんの想像以上にあると思います。

ですが、もしかすると、「この会社は気が進まない」「特に何も印象に残らなかったしよく分からなかった。でも何が分からないかわからない」というような気持ちを企業見学の後に抱く方もいらっしゃるのかもしれません。前者の方はその企業の何が良く思えなかったのかを分析すれば、また後者の方も、「何が分からなかったのか」「何故わからなかったのか」を紐解くと、自分に合った職場環境がわかるのかもしれません。

障害者雇用であれば面接の前後に職場見学がある場合もありますが、それ以外ではこういった障害のある方が実際に働いている場を見学できる機会というのはなかなかありません。せっかくの機会です。積極的に活用して、自分の就職活動に活かしていきましょう。