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ADHD当事者かめたーとるの就職活動

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

大学生のとき、私も就職活動をした。

大学時代の私は発達障害やADHDという言葉さえ知らなかった。
自分のことを「ミスが多いのが弱点」くらいに思っていたので、
就職活動も周囲と同じ程度の苦労をするだろうという認識だった。

想像よりもうまくいかない就職活動

しかし、いざ取り組んでみると、就職活動は全くうまくいかなかった。

原因1:ADHD特性により、ミスが多発

その原因の1つはADHD特性によるもの。
例によってミスを何度もしている。

・手書きでの履歴書作成。これは今でもとても苦手。
 とにかく誤字が尽きない。
 下書き→チェック→本書き→チェック→提出
 翌日、コピーした履歴書を見直すと、やっぱり誤字がある。

・説明会・面接にスニーカーで参加。
 これも何度かやっている。
 就職活動が終わって社会人になってからもやったことがある。
 志望度の高い企業でスニーカーを履いて行ったことも。
 (ただ、色々あって、なぜかその企業に入った)

・少人数説明会で、自分の志望していない部署の方がきたとき、寝る。
 社会人1人v.s学生3人で寝るのは、先方もさぞかし驚いただろう。

・筆記試験で寝る。時間に余裕のあるテストでよかった。

・同じ日にある業界の1位と2位の企業の面接。
 1位の企業で2位の志望動機を、2位の企業で1位の企業の志望動機を伝える。

・面接会場を間違える。大阪支社に行かなくてはならないところを、
 東京本社に行ってしまった。
 なぜか面接を受けさせてもらったが、当然落ちた。
 受付の女性の生暖かい笑顔は忘れられない。

最大の原因は『自分の甘さ』

しかし、就職活動が難航した最も大きな原因は、
ADHD特性ではなく自分の甘さだったと思う。

自分がどんな企業に就職したいのか、どんな人生を生きたいかを真面目に考えずに、
周囲に流されて就職活動をしただけだった。
就職活動への対策も十分ではなかった。
(今思えば、発達障害がある場合、より多くの対策が必要になると思う。)

その結果が、山となって帰ってきたお祈りメールである。

4回生夏。大学の単位も足りず、に親に頼み込んで留年をさせてもらった。
今でもそのことは親に感謝している。

留年を決めてからの1年。とにかく自分を成長させることに力を尽くした。
インターンシップも2社経験し、いい勉強をさせてもらった。

また、就職活動も相当に時間をかけた。
社会人の方何名かに協力していただき、エントリーシート添削や、面接練習も十分に行った。

その結果、5回生の就職活動の時には、早い段階で2社から内定をもらうことができた。

就職活動を越えたその先も……

その後も色々あった。
まず、そのうちの1社に決めたが、その会社が傾いて内定取り消しにあった。
そして、たまたま大学で見かけた最終面接で落ちた第一志望の会社の社長に頼みこんで面接をもう一度行ってもらい、その会社に入った。
まあ、色々あった就職活動だったが、無事に社会人になることができた。

社会人になる前の私は、よく分からない自信に満ちていた。
社会人になって、成功できると根拠なく信じていた。

しかし、私の真の苦労は社会人になってから始まった。

それは別の記事、《会社員時代(1)》に書こうと思う。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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