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新社会人になる発達障害のある方へ(1)

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

これを書いているのは2021年3月後半(本当は2月に提出しないといけなかったことは秘密だ)である。

4月には高校や大学などを卒業し、新社会人になる方も多い。その中に、発達障害のある方も少なくないだろう。ということで、今回は発達障害のある新社会人に向けてツラツラと書いてみたいと思う。

新社会人になる発達障害のある方へ

新社会人
まずは、ご卒業本当におめでとうございます。発達障害があると、学校の中でも苦労があったのではないかと推察される。苦労を乗り越えて、晴れて新しい道に出発するところまで来られたことは、すごいことだと思う。本当にお疲れ様でした。

その上で、一つ聞きたいことがある。
大学を卒業してなぜ働くという道を選択したのか?

多くの方が「お金のため」「生活のため」と答えたのではないだろうか。確かに、生活を成り立たせるためにお金を稼ぐことはとても重要だ。社会人になると、ほとんどの方にとって、今までのアルバイトとは比べ物にならない収入があり、自由に遣えるお金も増えるだろう。それも働く目的の大切な一つだろう。

ただ、仕事のメリットは、お金のため、生活のためだけではない。

📍 仕事の中でお客様から「ありがとう」と言われて意義を感じること
📍 仕事自体が面白いと思うこと
📍 難しい仕事にチャレンジして成長を感じること
📍 社内の仲間やお客様と関係性が作られること

など、仕事を通してやりがいを感じる体験をすることも多い。

つまり、仕事をすることは本来楽しいことであり、仕事は我々に様々な素晴らしいことをもたらしてくれる。仕事は本当にやりがいがあるものだと思うのだ。

ただ、そうは言っても仕事では大変なこと、辛いことも少なくないは事実だ。仕事によって、体の健康、心の健康を保てない方が多いことも事実だ。特に、入社して最初の2~3年は仕事に慣れずに苦しむ方が多い。

私は最近、企業や行政で研修講師をすることが多いが、学校を卒業して2~3年目までの若手社員は何らかの苦労をしているケースが多いように感じる。3年程度経ち、働き方がわかり、知識や経験も身についた頃、つまり社会人として適応できた頃から、仕事が急に楽しくなる方が多いように思われる。

発達障害のある方の仕事の適応について思うこと

発達障害のある方の場合はどうなるか。仕事の適応が他の方より遅い傾向があるように感じる。例えば、私が一人の社会人としてやっていく自信がついたのは、大学を卒業してから10年が経った頃だ。
他の人が2~3年で到達する「社会人として当たり前のことができる」という領域に到達するのに、私は10年かかった。そして、10年経った時に、大学時代の仲間を見渡すと、すでに大活躍している人が多かったのだ。

発達障害があると、仕事において色々な落とし穴がある。 ADHD不注意優勢型である私の場合は、ミスが異様に多かったり、納期を守れなかったり、整理整頓が致命的にできなかったり。また、ASD(自閉症スペクトラム症候群・旧アスペルガー症候群)も一部あるので、失言も多かった。

仕事に適応
仕事に適応できるかは、周囲からどれだけ配慮を受けられるか、業務が自分に合っているか、上司や同僚にどのような方がいるのかによって大きく異なる。しかし、自分の努力と工夫という側面もやはり大きい。

最初の数年は大変なことも多いと思う。ただ、適応できると仕事は急に楽しくなる。私は適応できるようになるまで10年かかったが、今から考えれば、適応するための期間はもっと短くできたと思う。
また、私の知人の発達障害がある方は、社会に出て15年が経過するが、職を様々に変えながら、ずっと仕事に適応できずに苦しんでいる。彼の苦しみを見ていると、発達障害のある方が適応していくのは本当に大変だと思う。

では、発達障害のある方が、社会に、会社に適応していくためにはどうすればいいのか?
そのヒントを次回以降書いていきたい。

▶ 新社会人になる発達障害のある方へ(2)

 
かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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