catchview

発達障害者差別の実情

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

某エラい方が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」と言って非難を浴び辞任した。その発言に関してまた新たな失言などが出て、この記事を書いている時点では、なかなか大変なことになっている。

先の発言は賛否両論だが圧倒的に否が多い。多くの方は差別発言を許さないとしているのだ。私がFacebookでつながっている方の投稿を見ていると、この件に関連する投稿のほとんどが、女性差別を否定し、この発言は許されないもので、日本の後進性を表しているというものだ。この傾向は男女問わなかった。

しかし、ある方の投稿を見た私は驚きを隠せなかった。その方も、ニュースの記事をシェアしつつ、女性差別は許せないという趣旨の投稿をしていた。まあ、多くの方の投稿と同じようなことを書いていたのだ。

では、私はなぜ驚いたのか。それは、その方が発達障害についてひどく侮蔑的な表現をした過去を持っていたからだ。この方をAさんとしよう。

Aさんから差別を感じた出来事

確か2~3年前だったと思う。私が普段からお世話になっている方(Bさん)から、Aさんを紹介された。Aさんの強みと私の強みを活かせば、何か面白いことができそうだということが、Bさんの紹介理由だった。AさんとFacebookで友達になり、メッセンジャーで連絡を取り合い、実際に会った。

話していると、確かにAさんとはお互いの強み活かし合えそうであった。1つか2つ仕事を一緒にやってみても良いかなという気分に私もなっていた。Aさんも同じような様子だった。

そんな時、話の何かのはずみで、私に発達障害特性をあることをAさんに伝えた。すると、Aさんの態度がゴロッと変わった。はっきりと私との仕事をやることを嫌がり出した。

私も気がついたので、なぜ私と仕事をしたくないのか聞くと「私はきちんとした人と仕事がしたいんですよ。発達障害がある方はまともじゃないでしょ。」と言われたのだ。私は怒りたくなる衝動に駆られたが、なんとか我慢してAさんと別れた。

Aさんは
「発達障害がある=きちんとしていない」
「発達障害がある=まともではない」

という偏見を持っている。
そして、「発達障害のある人」という理由だけで私との仕事を避けた。これは差別だし、私に対して非常に失礼だと思う。

Aさんとは今でもFacebookがつながっている。一度友達になったので、そこからわざわざ外すのも面倒だったからだ。そして私の投稿に時々「いいね」を押す。私はAさんの投稿に「いいね」を押したことはない。

女性差別も発達障害差別も

そんなAさんが女性差別に憤りを感じ、旧体制に憤りを感じていた。「ずいぶんご都合主義だな」と私は感じた。女性差別も発達障害差別も両方とも差別であり、当事者の心を傷つけるものだ。
でも、差別している方は、自分が差別しているという自覚はあまりないんだろうな。何度も分かってきたことだが、発達障害に対する無意識の偏見の強さに嫌気がさした瞬間だった。

社会からあれだけ問題視されている男女差別でさえ、改善には時間がかかる。発達障害者に対する差別がなくなるのは一体どれだけの時間がかかるのだろう。
当事者としては、社会が変わることを待っても効果は薄いと思う。だから、発達障害のある方も、一人ひとりが社会の中で自分の居場所を見つけられるようになることが重要なのだ。どこが居場所になるかについては発達障害特性の程度など、その人の状況によって大きく異なるだろう。福祉の枠内のこともあれば、福祉の枠外のこともあるかもしれない。

私はフリーランスという立場だが、ありがたいことに複数箇所の方が私を必要としてくれている。その方々に発達障害があることを伝えても、別に私への扱いは変わらない。このように、自分が自分でいられる場所を社会の中で見つけていかないと、発達障害のある人は差別的なひどい扱いを受けることがあるのだ。

そして、その差別をする側は、ほとんどの場合で無自覚なのだ。

昨年後半、Aさんから相談に乗って欲しいという連絡が来た。電話をすると、コロナの影響で仕事が減って、何かできる仕事がないかということだった。

ちょうど私は、ある仕事をできる人を探して欲しいという依頼を受けていた。その仕事はAさんの得意ジャンルだった。

私はAさんにその仕事を紹介した。Aさんは仕事を上手くこなし、Aさんからも依頼主からも感謝された。これが良い選択だったのか、私は今も悩んでいる。

 
かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

エンカレッジ02 エンカレッジ01