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新社会人になる発達障害のある方へ(2)

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

新社会人になる発達障害のある方へ(1)」の続きである。新社会人として、できるだけ早く社会や会社に適応していくにはどうすればいいのだろうか。

私は入社1年目、仕事と会社にどんどん適応していく同期を横目に見ながら、なぜ自分がこんなにもできないのか、全く理解ができなかった。
当時の私を振り返りながら、この記事では、新社会人が適応していくための具体的なアドバイスを書いてみたい。すでにこのブログでは色々なことを書いているので、重なる部分もあると思うが、そこはご容赦いただきたい。

仕事の二大要素の一つ『業務遂行』

まず、仕事の二大要素は「業務遂行」と「関係構築」であるので、その2つの側面から見てみたい。

社会や会社に適応するために

業務遂行

まずは業務遂行に関わる部分から。業務遂行は、自分の与えられた仕事をやり切ることを意味する。
具体的には、与えられた仕事を

✅ (1)時間内に
✅ (2)ミスなく
✅ (3)状況に合わせて柔軟に対応し
✅ (4)最後までやり切る

こと全てを満たすことが求められる。この4要素を満たして初めて合格点で、1つでも欠けることが許されないのだ。

発達障害のある方が業務を遂行するためには

発達障害のある方は、特性にもよるが上記の4要素全てを満たすことを苦手としている。
ADHDのある方は、(1)(2)(4)が苦手なことが多く、ASD(自閉症スペクトラム症候群・旧アスペルガー症候群)のある方は、(3)を満たすことを苦手としていることが多い。例えば、ADHDの私は(1)(2)(4)が昔から苦手で、現在もかなり苦手である。

では、どう対応していけばいいのだろうか。
実は(1)~(4)までは、色々な対策が本やネットに出回っている。このブログでもおそらく何度か取り上げている。だからここでは詳細は書かない。興味があれば検索してみて欲しい。

ただ、(1)~(4)を手っ取り早くこなすために最も重要なことは、まずは仕事を覚えることだ。覚えるというのは頭で覚えるだけでなく、「体で覚える」ということだ。つまり、自動で反応できるようになるくらいまで、仕事を覚えていくということだ。

そうすると、時間の見積もりが容易になり、時間内に終わらせることが容易になる。また、どんなところで自分がミスをしやすいかにも気づき、対策が打ちやすくなる。そして、イレギュラーな状況でも対応しやすくなるし、最後までやり抜くことも自然とできる。

仕事を全力でやり切る

だから、自分の与えられた仕事を全力でやり切ることに力を注ごう。先輩や上司の指示や指導がなくなっても、一人で必要な業務遂行ができるようになるまで、努力するのだ。
その努力の中で、発達障害特性が問題になることがもちろんある。ミスがどうしてもなくならないなどだ。

そんな時は、まずは自分で改善策を考えて実行する。例えば、ミスについてであるが、私の場合は、外部に提出する資料については2回チェックすることを目安にしている。そのうち1回はできるだけ次の日にチェックをすることで、私の場合はミスを発見しやすくなっている。

それでも、うまくいかない場合はどうするか。そんな時は上司や先輩に「相談する」ことが大切になる。上司や先輩に相談し、発達障害特性をオープンにしている場合は、必要な配慮を受けよう。発達障害特性をオープンにしていない場合は、目に見える配慮が受けられない可能性がある。ただ、日頃から周囲に仕事を頑張っている姿勢を見せていれば、協力・応援を得られる場合が多い。

私の場合はフリーランスだから同じ社内の人はいないが、クライアント企業の方に発達障害特性を伝えて配慮をしてもらうこともある。また、ミスのチェックにおいては、チェックを外部の方にお金を払って依頼することもある。

このように、上司や先輩から配慮を受けたり、相談をしたりする場合は、関係構築が重要になる。その関係構築については、次回で説明したい。

▶ 新社会人になる発達障害のある方へ(3)

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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