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発達障害特性の「弱み」を「強み」に変えるための方法

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

発達障害のある方と自分の特性について話をしていると、どうしてもネガティブな話になりがちだ。だが、発達障害の特性は果たして本当に弱みだけなのだろうか?

よく言われることだが、発達障害のある方は凸凹(デコボコ)がある。
得意な部分もあれば、苦手な部分もあるということだ。

その得意な部分を、現実世界で活かしていくための方法は、「発達障害を才能に変えるための3つのプロセスとは」で以前書いた。凸凹の凸(得意部分)の部分に焦点を当てた記事だ。

今回は発達障害特性の凹 (苦手部分)を強みとしてどう活用していくのかに焦点を当ててみたい。その凹の部分は、単なる弱みなのだろうか?単なる人生の邪魔者なのだろうか?私はそうは思わない。
発達障害のある方は、確かに凹があることで苦労することが多いだろう。でも、その凹の部分は才能とまではいかなくても自分の強みとなり得る部分もあると思う。

発達障害特性の苦手部分を強みに変えるには?

弱みを強みに変えるためには、2つのアプローチがあると思うのだ。

1)弱みを持っているからこそできることを探す
2)その弱みが強みに変わるポイントを探す

という2つだ。似ている部分、重なっている部分もあるが、異なる部分もあるので分けて説明してみたい。

1)その弱みを持っているからこそできることを探す

まず、その弱みを持っているからこそできることを探す、ということだが「できない」からこそ「できる」ことが実は色々ある。

又聞きの話なので、事実なのかは確認していないが、私の好きな話を2つ。

LD(学習障害)で漢字を読めない方が障害者雇用で入社し、大切な個人情報を扱う部署に。漢字や数字が読めないからこそ、重要性の高い個人情報を扱う部署で漏洩リスクが低く重宝されている。

ASD(自閉症スペクトラム障害・旧アスペルガー症候群)の方で、こだわりが非常に強く、作業が遅いため会社に適応できなかった方がラーメン屋に入店。澄んだスープが有名な店だったが、その味を出すためには、一日何時間も粘り強くアク取りをしないといけない。ほとんどの店員はそのアク取り作業を嫌がったが、ASDのある店員はこだわりの強さから毎日何時間も丁寧にアク取りをし続け、店の評判を高くした。

このように、「できない」からこそ「できる」ことも意外とあったりする。

私の場合、ADHDがあるので、非常にミスが多い。だからこそ、とても重要なことについては何度も何度もチェックする。特に大きなリスクについては、二重三重に対策する
その結果、あるクライアント企業から「大きなミスをしない手堅い人」という評価をいつの間にか得ていた。ADHDのある私からしたら、あまりに不思議で皮肉な評価だが、これもADHDで正確に物事を進めることができないからこそ、結果的に大きなミスをしないという評価になっているのだ。

このように、「できない」ことが「できる」ことになることは探せば色々あるのだ。
発達障害のある方はぜひ探してみて欲しい。

2)その弱みが強みに変わるポイントを探す

次に、その弱みが強みに変わるポイントを探す、について見ていきたい。

「弱み」の見え方を変えると、「強み」になる場合は意外とあるのだ。
本来、個人の特性に良い・悪いはない。ただ、特定の環境に「合う」「合わない」があるだけだ。
発達障害のある方は、社会で「合いにくい」特性を持っているだけで、別にその特性が悪いわけではないし、どんな環境でも合わないわけではない。だからこそ、「弱み」が起きる特性について、「強み」となる場面や見え方を考えることに意味があるのだ。

例えば、私は「常識が分からない」のであるが、見え方を変えると「常識を超えやすい」のだ。ほとんどの場合、常識を外れると悪い状況になる。しかし、常識を外したアイデアを生み出すからこそ、私は時々新たな発想を生むことがある。

また、とあるASDの方は、「空気を読むのが苦手」であるため、相手のことを考えずにマシンガントークをする。そのマシンガントークの結果、その方は今では売れっ子講師になっている。かなり賛否は激しいらしいが、強烈なファンの獲得に成功している。同じ講師であっても私には真似できない芸だ。

このように、弱みが強みに変わるポイントは意外なところに眠っていることがある。

1)2)のどちらも、弱みがあるからこそ強みが生まれるということだ。
自分の弱みは強みに変わらないだろうか?一度考えてみて欲しい。
それが意外と自分の人生を広げることがあるのだ。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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