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二次障害の症状と発達障害について

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

発達障害の二次障害は原因も症状もさまざま

発達障害は、脳機能がアンバランスに発達されることが原因で起こる障害である。そして、その一次障害である発達障害を原因として、後天的に精神障害などを発症することを二次障害という。二次障害として、うつ病や不安障害・自律神経失調症などがあげられる。

発達障害のある方でも、二次障害がある方とない方がいる。また、うつ病を疑い、病院の精神科を受診したところ、そこで発達障害が分かったというケースもある。このように、二次障害については、発達障害のある方に限定しても多様なので、一概に言うことはできない。
原因も多様である。

『ADHDで多動性が強い子どもに対して親が厳しくしすぎた結果、子どもが自分に自信を持てなくなった。』
『ASD(自閉症スペクトラム・旧アスペルガー症候群)があり、小学校時代にうまく人間関係を作ることができず、いじめられた。』
『社会人になり、障害特性から企業に適応できず辛い思いをした。』

など、様々な理由がある。過去に傷ついた体験がトラウマ化して、前に進めないケースも見られる。

私の場合は、大学を卒業するまでは大きな問題にぶつからなかった。しかし、社会人になって、「多くのミスをする」「納期を守れない」「社会人のルールが分からない」などの症状が起きた。2社目では強烈に叱責する上司の元で毎日怒鳴られ続け、抑うつ状態になった。当時病院に行かなかったので正式な診断は受けていないが、症状からうつ病だったと思っている。

発達障害の二次障害の症状に困ったら、まず病院へ

発達障害だけでも仕事・生活の上で困難があるのに、二次障害の症状があると困難さが大きく増える。
では、自分や身近な方が、発達障害が原因の二次障害があると思われる場合はどうするか。基本的には病院に行き、症状に対し医師のサポートを受けることが最も望ましい。

個人的には二次障害を優先して対処した方がいいと思っている。
確かに発達障害は根本的な原因なので、発達障害の治療ができるのであれば二次障害にもいい影響はある。しかし、発達障害は脳の問題だから、一生継続する。また、ADHDの投薬治療を除き、急激に大幅な改善をすることは望みにくい。

一方で二次障害は心の問題であり、程度や病状によるが発達障害よりは改善しやすい。何より、二次障害の症状は辛いものが多いので、改善することで安定した生活を送りやすくなる。

そして、発達障害のある方、発達障害を疑っている方も、精神的な辛さや不安定さを感じた場合、病院の精神科で医師の方に積極的に相談するといいと思う。

私は、2社目で心がボロボロになって退職してフリーランスになった後も、精神的に辛い状態が続いた。また、突然当時のことがよぎって辛い感情を思い出すフラッシュバックの症状も5年近く続いた。
フラッシュバックの症状がなくなった時、自分の人生を手に入れるために前向きに動けるようになったと感じている。医師の方に相談して適切な治療を受けておけば、もっと早く前向きになれたように感じている。

二次障害で大きく心が傷つき、その症状にも苦しめられている方と何人も会ってきた。二次障害の治療が簡単ではないことも理解している。
ただ、二次障害に対する理解が広まり、楽になる方が少しでも増えればなと思う。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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