強みと仕事をマッチング。互いの得意を活かして成長する。
企業・団体名:株式会ジオリゾーム
http://www.georhizome.co.jp/
「今後、発達障害のことを理解する中小企業も増え、就職のチャンスも多くなると思います。」そうお話くださったのは、電線類の地中化や土壌浄化などの環境活性化事業を通じて、安全・安心で美しい街づくりを行う株式会社ジオリゾーム。2013年からインターン生受入れを開始し、現在は障害者雇用に向けた準備を行っています。どんな思いで受入れているのでしょうか。部長の井上承子さんにうかがいました。
仕事がハマったとき、予想以上の成果が出てきます。
- Q.実習・インターン受入れに取り組むきっかけや目的はなんですか?
始まりは、社長の「インターン生、受入れることに決めたから」の一言でした。正直最初は不安から、あまり乗り気ではなく、できない理由ばかり考えていました。そんな気持ちが変わったきっかけは、社員旅行で「株式会社沖縄教育出版」を訪問したことです。障害のある方もみんな一緒に働いている様子を見て、とてもいい雰囲気だと感じたんです。温かくて、みんな楽しそうで、しかも業績がいい。こんな会社があるんだなと。無責任かもしれないけど、「うちでも受入れてみようか」と踏ん切りがつきました。今さら断ることもできなかったんですが(笑)。
- Q.受入れへの不安とはどのようなものでしたか?
事前に、発達障害の特性や配慮について説明を受けましたが、実際どういう障害で、どういう人なのか分からないということが不安でした。たとえば、できるだけ肯定的に伝えた方がいいと教えていただきましたが、「もし否定的なことを言ったら、どうなるんだろう?」「急に泣き出したり、怒ったりしたらどうしよう?」と私も社員も思っていました。でも実際に受入れてみると、泣き出すことも、怒り出すこともなく。不安はどこかへ消えました。知らないということが不安を生んでいただけなんだと気づきました。
- Q.実習・インターン生の仕事内容はなんですか?
インターン生の仕事は画像修正です。イラストレーターを使って、街の風景写真から電線を消すという内容です。当社は電線のない街づくりを事業としているので、その写真がお客様へのプレゼン資料になります。電線のある風景から、電線がなくなる。そのビフォー・アフターがお客様にインパクトを与え、写真をお見せすると「おー!」と歓声が上がります。また経理補助の仕事もあります。伝票などのデータ入力をしていただいています。仕事を選ぶ際は、その方の得意・不得意を参考にしています。コツコツ取り組む業務も、やはりみなさんが得意な訳ではないので。 でも、得意なこと・興味のあることと、仕事内容がハマった時はすごいですね。過去にセミナー運営をお願いしたことがあったんです。当日は、お客様の誘導や、議事録作成を。終了後は、アンケート集計、グラフ作成をし、お客様向けの情報誌に掲載する記事も作成していただきました。それまでグラフ作成もしたことがなかったそうですが、方法を調べて作成し、さらに文章の完成度も高く、ほとんど修正なしで掲載することができました。ご自身が面白いと思ったら、ハマり込んでいくんですね。そんな時は、思っていた以上の成果が出てきます。
ちょっとの笑顔で、周りがとても幸せな気分に
- Q.受入をしてよかったこと、周囲での変化はありましたか?
新しいインターン生を受入れる際は、事前情報や、顔合わせでの印象を社員に伝え、理解が深まるように心がけています。インターン生に対しては、「分からないことがあったら、いつでも声かけてね」と伝えています。でも、私も仕事中は怖い顔をしているらしく、声をかけにくいようです……。なので、ちょっと手が止まっているときは、こちらから声をかけるようにしています。 また、社内全体が、明確に伝えることをすごく意識するようになったと思います。たとえば、インターン生を受入れるまでは、社内で指示を出したり、受けたりするとき「いつまでに」の要素をよく抜かしていたんです。「いつまでに」が分からないまま作業に取り掛かり、急ぎでない仕事を先にしてしまうことがよくありました。発達障害のある方を受入れたことによって、指示する方も5W2Hを意識するようになり、受ける方も5W2Hの要素が抜けていたら聞くようになりました。それまではあいまいな仕事の頼み方が多かったんです。作業内容や指示、手順を分かりやすくして、働きやすくなるように心がけています。インターン生を受入れていなかったら、あいまいなままだったかもしれません。
- Q.受入れをする中でよかったことや、周囲の変化などありますか?
社員の中から、「この仕事をインターン生にお願いしたい」と、受入れに積極的な発言やアイデアが出てきたのはうれしいですね。仕事を切り出して、手順を整えて、得意な人が得意な業務を担う。そうすることで社内の効率化も進んでいますし、社員の成長にもつながっていると思います。もっと取り組んでいきたいですね。 また、インターン生は社内にいい風を吹き込んでくださいます。インターン生も社員もみんなで話が盛り上がり、飲みに行くなんてこともありました。そんなに話さない方の場合も、話しかけると話してくださいます。いかにその方を笑わせるか挑戦したくなってきます。だから、少しでも「フフフッ」と笑ってくれたらすごい達成感。ちょっと笑顔を見せてくれるだけで、周りがとても幸せな気分になるんですよね。
- Q.受入れ・採用にあたっての将来像や今後の方針などお聞かせください。
障害者雇用も考えています。業務は経理補助が中心です。文章を書くことが得意であれば記事作成、会報作成もお願いしたいと思っています。理想は、コツコツ根気のいる仕事が好きな人。当社も発達障害のある方が活躍できるように、業務の単純化や仕事の切り出しを進めています。強みと仕事がうまくマッチして、得意を活かした仕事ができれば、成果も出ますし生産性もあがります。お互いにとって、とてもいい流れがつくれると思います。
企業・団体名 | 株式会ジオリゾーム | |
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所在地 | 〒564-0032 大阪府吹田市内本町1-1-21 | |
HP | http://www.georhizome.co.jp/ | |
事業概要 | 『大地と街と、そこに暮らす人々がいきいきできる環境を創る』環境活性化事業を中心に1993年設立。空が大きく見える美しい街並み、子どもたちが触れても安心安全な土や水。そんな環境を創ることをミッションに、電線類地中化を通じた安全・安心で美しい街づくり、土壌汚染調査・浄化対策・コンサルティングを通じた安心できる土壌環境づくり、水質分析を通じた安全な水環境づくりなど実施。 |