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発達障害者で支援者です~私に求められる役割~

障害の診断を受けたことからピア支援者の道へ

エンカレッジ心斎橋でコーディネーターを務めている成瀬です。
自身がADHD、そして交通事故による高次脳機能障害の当事者でもある、いわゆる「ピア支援者」です。

複雑多量なマルチタスク中心の前職で20年以上勤務。
事務処理や人間関係におけるトラブルの頻発、そのストレスによるうつ病、強迫性障害など数種の精神疾患がきっかけで診断を受け、障害の存在がわかりました。
公私ともに将来を見失いかけたものの、「幸せを諦めたくない」という渇望から人生のやり直しを決意。
心と身体を整える様々なトレーニングにがむしゃらに取り組んだことから、人生が急激に好転していきました。

この経験を活かして社会に貢献することで、自分らしい人生を実現したい。
そして、発達障害者でも自己肯定感豊かに生きていける社会づくりに寄与したい。
このような思いから、およそ1年半前、エンカレッジに転職して参りました。

エンカレッジに転職

ピア支援者の強みと難しさ

障害特性を活かした支援~私の場合~

私が心がけているのは主に3点です。

(1)当事者としての体験や社会適応経験を活かした面談や日常支援
(2)障害特性の「しゃべり過ぎ」を活かし、理解力不足を逆手に取ったわかりやすい講座
(3)発達支援コーチのスキルを活かした、発達障害の生きづらさを緩和するエクササイズや生活改善アドバイス

特に(2)については、僭越ながらユニークで貢献度も高いと自負しています。
私の困りごとのひとつに、相手の話を一度で理解することが難しかったり、内容が少し複雑になっただけで頭の中が真っ白になるというものがあります。
また、聴覚からの理解が苦手で、聴いた話をその都度わざわざ箇条書きやイメージ図に書き直さねばならないことが多々あります。

しかし、裏を返すと「自分自身が理解できるように説明できれば、ほとんどの方にわかりやすく受け取ってもらえる」ということになります。
そして、わかりやすく説明するためのプレゼン技術は、たとえ障害があってもある程度は努力によって身に付けられます。

このような視点から作り上げる私の講座に対して、たくさんの利用者様が「わかりやすい」と評価してくださいます。これもひとえに、私の事務処理速度や易疲労に対して快く合理的配慮をし、得意な部分(講座等)については伸び伸びと取り組ませてくれるスタッフ各位のおかげです。

ピア支援者が陥りがちな落とし穴

自分と似た障害特性や困り感を持つ利用者様と接する機会は頻繁にあります。
そんな時、自分が取り組んで効果が出たやり方をそのままアドバイスしたものの、上手くいかなくて支援のやり方に悩んだことがありました。
「成瀬さんのADHDと●●●さんのADHDは違うんですよ」とフォローを頂き、我が身の未熟さを顧みたこともあります。
そもそも発達障害というもの自体が「ひとりひとり異なる」障害である以上、いかに当事者とはいえ個人的な成功体験をそのまま押し付けて上手くいくはずがないのです。

そこで、当事者経験から得られたやり方については、主にマンツーマンではなく講座において、一般的な知識としてお伝えしていくようにしました。
この意識変えは功を奏し、多くの利用者様から楽しみにして頂ける講座が出来ていったように感じています。

ピア支援者の役割とは~支援に「厚み」を加える~

当事者が支援者についてSNS等で語る中に、「定型発達の支援者は障害による生きづらさを実体験していないため、頼りにできない。」という視点からピア支援者育成の必要性を求める声が散見されます。
しかし、一当事者としては、「違いを理解し、受け入れて欲しい」と一般社会に求めつつ、「障害を持っていない」という視点から定型発達者による支援を敬遠するのであれば、発達障害者が働きやすい社会など叶うはずがないと感じています。

では、ピア支援者の力が発揮される役割とは何なのでしょうか。
私は、定型発達の支援者と協力・連携しながら、支援に独特の「厚み」を加えることだと思っています。

支援

例えば、重大な困り感の原因について支援方針を検討する際には、多種多様な知識・経験を持ち寄らないと、少ない選択肢からの決めつけ支援に陥ってしまいます。
その点、エンカレッジには驚くほどの様々な経歴、経験、スキルを持ったスタッフが集っています。
そこに私の当事者経験を「希少だが等価」なものとして、他の経験をマウンティングすることなく加える。
これこそが、ピア支援者ならではの「厚み」になるのです。

私は今後ますます、他スタッフから、そして何よりも利用者様自身から学び、成長していこうと気持ちを新たにしています。
そして、「ピア支援者を有する事業所」という付加価値を提供できた時、どんな角度からも利用者ファーストなエンカレッジの実現に貢献できると信じています。

発達障害に特化した就労移行支援事業所エンカレッジ

エンカレッジ

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