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発達障害のない方へ(2)

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

←《発達障害のない方へ(1)》
前回の続きです。

発達障害のある方は世間の「当たり前」が難しい場合がある

同じ職場に「発達障害者」(もしくは働きづらさを抱えている人)がいる場合、
最も理解して欲しいことは、「やる気がない訳ではない」ということです。

学業、仕事など、発達障害のある方は、
「当たり前」とされていることに課題を抱えていることがあります。

私は書類整理がとても苦手です。
現在の仕事は書類の量が少ないため、困ってはいませんが、
過去の仕事では書類の量が多く、うまく整理ができませんでした。

机の上には書類が山積み、引き出しの中にも書類がたくさん。
机の上は「雪山」(ときどき雪崩が起きるから)
引き出しの中は「四次元ポケット」と呼ばれていました。

大切な書類の場所がわからなくなり、
書類を探すことに時間がかかるなど、
デメリットは大きかったです。

上司から指導を受け、先輩から指導を受け、
片付けの本を読み、ネットでも片付けのコツを調べました。
いろいろやってみました。

結果はどうだったか。
片付けられるようにはなりませんでした。

できる人からすれば
「当たり前にできる」
「当たり前にしておくべき」
ことを、どう頑張ってもできなかったのです。

その時に下った評価が、「改善をしない」「PDCAをしない」です。
そう見えるのも仕方ないのかもしれません。
でも、私からすると頑張ったにもかかわらず、頑張っていないと捉えられた、
非常につらい体験でした。

発達障害特性由来の問題を「本人の努力不足」と決めつけると改善は困難になる

確かに、仕事では結果を出すことが求められます。
そのために改善をしていくことは当然必要です。

しかし、先天的な特性が原因で
改善できずに苦しんでいることを、
「本人の努力不足」ととらえないで欲しいのです。

外部から、努力不足か、そうでないのかの判断は難しいと思います。
でも、安易に努力不足というレッテルを貼らないで欲しいのです。

「本人の努力不足」というレッテルは、
努力をしている人間からすると、存在すべてを否定された
ように感じます。非常につらいです。
そして、もう既に頑張ってできていないので、
改善される見込みも薄いのです。

しかし「本人は努力しているができていない」と理解することで、
解決策が出ることもあります。

それは、本人が一人で解決できる問題かもしれませんし、
周りの協力で解決できる問題なのかもしれません。
(もちろん配置転換が必要なレベルもあるでしょう)

別の仕事で、私の誤字が多いことが問題になりました。
チェックを2回入れても、誤字があるのです。

本人の責任で誤字をなくさないといけないルールでしたが、
私だけ特別にチェックをしてくれる人がつきました。

本当に嬉しかったです。
当時の上司と、チェックを担当してくれた方には、
今も感謝しています。

そして、その仕事で、私は高い評価を得ることができました。

誤字が多く低い評価が、周囲の協力によって誤字がなくなった結果、
高い評価を得ることができたのです。

確かに、上司・同僚からすれば手がかかると思います。
その、手のかかる仲間は、少しの工夫で大化けする可能性もあるのかもしれません。

発達障害当事者がしなければいけない努力とは

では、「発達障害者」は理解を待っているだけでいいのか?
当然そんなことはありません。

言うまでもなく、本人が一番努力する必要があります。
では、発達障害当事者が仕事をする上で何が一番大切なのか。

私が思うところを次回書きます。

→《発達障害のある方へ》

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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