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障害学生にとってのオンラインインターンシップの可能性

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

記事執筆時点(2020年7月上旬)ではコロナウィルスの影響によって、2020年度のインターンシップのあり方が大きく揺れている。

今まではインターンシップはリアルで行われることがほとんどであったが、コロナウィルスの流行に伴い、リアルでの実施が困難になった。2020年の夏季インターンシップを中止にした企業も多い。リアルでのインターンシップを実施する企業もあるが、一方でオンラインインターンシップを実施する企業も出てきている。

このオンラインインターンシップは、発達障害のある学生にとってどのような意味を持つのであろうか?今回はそれを考えてみたい。

障害学生にとってのオンラインインターンシップ

まず、インターンシップの種類は大きく4つに分類される。

(1)実践型・・・企業の職場で社員が行う実務に近い作業を行う
(2)課題解決型・・・企業から課題が出され、社員インタビューなどを通して解決策を考える
(3)職場見学型・・・企業の方から職場を案内してもらい、業界や仕事についての説明を受ける
(4)講義セミナー型・・・業界や業務内容について説明され、グループワークなどを行う

(3)(4)は1dayなど短期間で行われることが多く、本来の意味でのインターンシップと異なる面もあるため、今回は取り扱わない。ある程度の期間をとって実施される(1)(2)について考えたい。

現時点では、コロナウィルスの流行により(1)実践型での実施のハードルが高くなっている。職場に入ってもらうことは感染リスクにつながる。また、社員の方がリモートワークをしている場合も多く、その場合には学生の管理がしにくいと言った問題もある。インターンシップサイトを見ていると実践型を実施しているところもあるが、昨年度と比較して、その数は相当に少ない。

そこで現在注目を集めているのが、(2)課題解決型だ。まだ数は多くないが、こちらはオンラインとの相性が悪くない。そして、発達障害のある学生には、課題解決型のオンラインインターンシップは狙い目だと私は考える。

課題解決型オンラインインターンシップでの有利さ

発達障害のある方にとっての大きな困りごとは「コミュニケーション」に関するものだ。そのコミュニケーションでの困りごとは、オンラインになると一部緩和する。実際に、リアルの場でのコミュニケーションが苦手な学生が、オンラインの講義では率先してチームを引っ張っていく姿を私は見ている。オンラインでは、非言語コミュニケーションの影響が弱く、雑談も少ない。そのため、オンラインでは言葉の中身が重要になる。非言語コミュニケーションや雑談が苦手なことからグループワークが苦手な学生が、その自分の弱点のないオンランの場で活躍するのだ。
また、オンラインの場合は個別の作業がどうしても多くなるが、個別作業においてはコミュニケーションを求められず集中して作業にあたることもできる。
オンラインでのインターンシップはそもそも発達障害のある方にとって有利だが、課題解決型の場合はさらに有利さが増すのだ。

今後、コロナの影響がどうなるのか予測できないし(執筆時は、第二波の影響が大きくなっている)、オンラインインターンシップが今後一般的になるのかも現時点ではよくわからない。

ただ、発達障害のある方にとってオンラインインターンシップは一つのチャンスでもあるし、課題解決型のオンラインインターンシップは特に自分の力を発揮できる可能性が高い。

インターンシップに参加することに消極的な方もいるかもしれないが、オンラインインターンシップには積極的に取り組んでもらいたいと思う。インターンシップで、社会人の仕事に直接触れることは将来を考える上で非常に役に立つし、社会人との交流から学ぶことも多い。そして、自分の力を発揮することができれば将来の採用につながる可能性もある。

では、どうやってインターンシップ候補先を探せばいいのか。それはリアルの場合とあまり変わらない。

✅ ナビサイトで探す
✅ 大学のキャリアセンターに相談する
✅ 大学の授業に参加する

というところが主になる。

コロナが収束しても、オンライン化の流れは止まらないと私は見ている。もし止まらないのであれば、発達障害のある方にとって能力発揮の場が開けるのではないかと私は期待している。であれば、活躍の場を見つけるきっかけとしてオンラインインターンシップに参加することはメリットが大きいだろう。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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