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1)発達障害のある2022年卒の学生が今のうちからやっておくべきこと

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

今回は、2020年度の3回生=2022年春卒業予定の発達障害のある学生が、就職活動に向けて今何をしておけばいいのかを考えたい。

2022年卒学生の就職活動の私的見解

これを執筆している2020年秋の時点で、2022年卒の就職活動状況を予測することは正直難しい。コロナ禍の影響で、就職活動がどうなるのかが見えてこないからだ。来年もコロナウィルスの流行が続いているのか、収まっているのかによって就職活動の状況は大きく異なることだろう。

ただ一つ、はっきりと言えることがある。2022年卒の就職活動はかなり厳しいものになるだろう。
コロナ禍が収まっていたとしても、多くの企業がすでに深刻なダメージを受けている。業績が本格的に回復しない限り、人を採用しようという意欲はなかなか起こりにくい。ましてや、コロナ禍が続いている場合は、余計に採用しようとする意欲は下がるだろう。また、本来は2021年卒の学生でうまく内定が取れなかった方が、2022年卒枠を狙う可能性も十分に考えられる。

このように、2022年卒学生の就職活動は厳しい環境が予想されるが、今のうちからどのような準備をしておくことが必要になるのだろうか。それを考えてみたい。

2022年卒の学生が就職活動に向けてやっておきべきこと

今回は、発達障害の有無関係がなくやっておいた方がいいことを書いてみたい(発達障害のあるなしが関係する話は次回で)。

また、
▶ 倍率の高い有名企業から内定を得る
話ではなく
▶ どこかに確実に内定を獲る
ための方法に焦点を絞りたい。

では、発達障害の有無に関係なく、就職活動が厳しい時期に早めにやっておいた方がいいことはなんだろうか?

それは「業界分析・企業分析」である。

就職活動にある程度熱心に取り組んでいる方からすると、「なあんだ」と思われるかもしれない。キャリアセンター主催の就職支援講座で何度も聞いている方もいるはずだ。
私も3回生向けの業界研究・企業研究の講座を担当することがあるが、その時にも業界分析・企業分析の重要性を何度も繰り返し強調している。

でも、なぜそれを強調するのか?それは、業界研究・企業研究がとても効果があるからだ。そして、同時に学生がおろそかにしやすいからだ。

業界分析・企業分析の重要性「BtoCとBtoB」

多くの学生が「自分の知っている業界」「有名な企業」に行きたがる。そしてその両方がBtoC(一般顧客向けビジネス)であることが多い(商社など一部例外はある)。

毎年、就職活動が始まると、BtoC向けの有名企業に人が多く集まり、その後、だんだんとBtoB(企業・法人向けビジネス)に人が流れていくのだ。BtoBは消費者として生活をしていると接することが少ないから、知られていないケースが多い。
なお、早いうちにBtoBに目を向けた学生が、BtoBの中の優良企業に内定していく傾向にある。

コロナ禍では、全体的な傾向としてBtoC企業の方がダメージを受けている。もちろん業界・業種によるが、比較的BtoB企業の方がダメージは浅い。
元々BtoC企業は倍率が高いのに、コロナ禍で採用が抑制されると、BtoC企業の内定倍率は例年にも増して高いことになるだろう。

例年であれば、第一志望の業界、第二志望の業界の選考が終わり、内定が出なかった時に初めて、BtoBに目を向ける学生も多かった。BtoB企業やBtoCの中でも人気の低い飲食・接客・福祉などは、それでも間に合ったのだ。
ただ、今年はその余裕はないかもしれない。自分の志望する企業がダメだった場合、次に応募できる企業の手持ちがないかもしれない。

だからこそ、BtoBも含め今年は業界などを広く見ておくことが必要になるだろう。また、応募する企業の選考通過倍率が高くなるので、例年以上に企業のことをよく調べることも必要になるだろう。

業界研究・企業研究の方法は、キャリアセンター等の講座でも受けることができるし、インターネット上の情報も多いので、ここでは紹介しない。

ただ、業界、企業を知る上でのコツは選り好みしないことだ。特に、自分が知らないから志望しないというのは非常にもったいない。全く知らない業界の、名前も知らなかった企業に内定をもらった学生が、入社してみたらすごく仕事が楽しかったという話は何度も聞いたことがある。

なので、まずは、様々な業界や企業を調べてみよう。そして、できるだけ採用試験を受ける間口を広く持とう。日本に存在する企業は380万社以上だ。その中には、一般には知られていないが魅力的な企業がたくさんある。そんなまだ見ぬ魅力のある業界、企業をたくさん探していこう。

今後はかなり厳しい就職戦線になることが予想されるが、今しっかりと業界・企業分析をしておくことが後々の自分を助けることになるかもしれない。

と、ここまで書いたがこれは発達障害の有無は特に関係がない話。

では、発達障害がある学生は今の時期、何をしておいたらいいのだろうか?
それはまた次回に。

▶ 2)発達障害のある2022年卒の学生が今のうちからやっておくべきこと

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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