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発達障害を持つ方がフリーランスで働く?(1)

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

発達障害当事者にとっての「フリーランス」という選択肢

私は企業で3年半働いてからフリーランスになった。
フリーランスになってから1年半正社員となった時期もある。
フリーランスとして多くの企業と取引させていただいた時もあるし、1社とのみ仕事をしていた時期もある。
現在は、フリーランスの講師として生計を立てている。

その間様々な経験をしたし、発達障害があったからよかったこと、逆に発達障害があったから悔しい思いをしたことも多い。
そこで、発達障害を持つ方がフリーランスで働くメリット・デメリットを考えてみたい。

フリーランスでの働き方について

まずはフリーランスで働くということはどういうことかを説明したい。
(あくまで私の解釈だが)

フリーランスは、基本的に顧客に対して何か貢献することでお金をもらえる。
逆に言うと、貢献しないと全くお金がもらえない。
(本来の仕事の中身と違うが)多少貢献度が低くて、毎月定額の給料が出る、サラリーマンとの大きな違いだ。

フリーランスで働くとき、仕事を得るパターンは大きく2つある

(1)本人の持つ「技能」に対して仕事を得る
(2)人間関係で仕事を得る

(1)本人の持つ「技能」に対して仕事を得る、は更に2つに分けられる。

(1)-1 自分だけが持つ、代わりがきかない技能で仕事を得る

このレベルまで行くと単価は高い。替えがきかないからだ。
その技能を必要とする仕事がある限り、依頼が切れることはない。

(1)-2 ある程度誰でもできる技能で仕事を得る

このレベルの単価は低い。単価を上げると他の人に仕事が行くからだ。
また、技能以外に「使いやすさ」「コミュニケーションコスト(※)」など、多様な要素で判断される。

(2)人間関係で仕事を得る

フリーランスを始めた頃や、若い方に多いパターン。
技能ではなく今までの関係性や将来性に期待をされて仕事をもらえるパターン。

私の知っている成功しているフリーランスの方は、
「(2)」→「(1)-2」→「(1)-1」と成長しているように思える。
一方で、(1)-2で止まって苦しい生活を送っていたり、企業勤務に戻る人も少なくない。

フリーランスで働くメリット

では、フリーランスのメリットは何か。

(1)仕事が多く入ると収入が急に増える

企業の場合、昇進などを除いて収入が大きく増えることはあまりない。
フリーランスは成長して仕事が増えた分だけ収入が上がる。
大きい仕事を終え、報酬が入金されたときの興奮は別格だ。

(2)自分の仕事を限定できる

フリーランスの場合、多くは「◯◯という業務を行えば、△△円」という発注形態になる。

そのため、業務以外の仕事を行う必要性がない。
つまり、苦手なことは極力省き、自分の得意な分野を中心に戦うことができるのだ。

凸凹のある発達障害の当事者にとって、これはとても大きなメリットだと思う。

私の場合、多くの方に指導していただき、助けていただいた結果、講師能力という一点を高め続けることができた。
これは本当にありがたかった。

フリーランスで働く場合、メリットだけではなく当然デメリットもある

では、逆にデメリットは何なのか?発達障害はフリーランスに向いているのか?
続きは次回に。

→《発達障害を持つ方がフリーランスで働く?(2)》


※コミュニケーションコストとは
相手とのコミュニケーションにかかる時間や面倒さを表す。
コミュニケーションコストが高い人とは、仕事をする時の意思疎通が難しく、トラブルが多い人を指す。
人とのコミュニケーションコストを低くすることで、仕事の声がかかりやすくなる。

 

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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