「だらしなさ」「ズボラさ」某芸能人のスキャンダルに思う

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

少しタイムリーなネタになるが、某芸能人のスキャンダルについて取り上げてみたい。
ただし、その人について非難する趣旨でも、擁護する趣旨でもないため、具体的な名前と事件の内容については伏せておく。気になる人は調べてみてください。

その芸能人は、本来果たすべき義務を果たさずにいたことが分かり、マスコミから大いにバッシングされた。釈明会見で義務を果たしていなかった理由を「だらしなさ」「ズボラさ」と自分で説明していた。

だらしなさ・ズボラさ

また、インターネット上では、その芸能人がADHD(注意欠陥多動性障害)ではないか、発達障害ではないかという意見が多く見られた。私もこの件を調べてみると、その可能性があるなと感じた。
ただし、実際に発達障害かどうかは医師の診断が必要であるし、別の可能性も複数考えられるので、ここではその真偽には触れない。

ADHD当事者の私にもある「だらしなさ」「ズボラさ」

私はその芸能人と同じ「だらしなさ」「ズボラさ」を持っている。だから、私にとってこの事件は人ごとではなかった。私の場合は発達障害の診断があるので、だらしなさがADHDに由来すると言い切ることができる。
そして、ADHDのある方の一部には、同じような「だらしなさ」「ズボラさ」に苦しめられている。

余談だが、私の場合は家庭があることが救いになっている。だらしないと妻に怒られるが、妻はよくサポートしてくれる。また、義務を果たしていないと家族に迷惑をかけるという点が、私をギリギリのラインで救ってくれている。
でも、一人暮らしの時にはだらしなさ、ズボラさは本当にひどかった。発達障害特性、つまり先天的な理由でそのだらしなさがあり、そのだらしなさとズボラさを直そうと何度努力しても直らないことに、私は苦しんできた。

さて話を戻すが、発達障害のある方は、ここから2つの教訓を得られるように思う。

発達障害のある方が得られる教訓

1)だらしなさ、ズボラさは言い訳にならない

その芸能人は後から義務を果たしたにも関わらず、芸能活動休止に追い込まれた。
いくらだらしなさ、ズボラさが先天的なものであっても、義務を果たさないといけないし、果たさないとペナルティがある。

私は大学時代に一人暮らしをした時、何度か電気・ガス・水道を止められたし、止められてもなかなかお金を払って復旧しなかった。
お金がなかったのではなく、お金を払いに行き、復旧をしてもらうということがひどく面倒に感じられたからできなかったのだ。
だから当たり前のインフラがない時間が頻繁にあった。

このように、義務を果たさなければ代償がある。それは、発達障害があろうがなかろうが関係がない。
だから、自分なりにその義務を果たす工夫や仕組みづくりをしないといけない。

私の場合は先ほども書いたが、家族がいることが大きな仕組みになっている。
その他、細かい工夫を無数にすることでなんとか保つことができている。

特性は人それぞれなので、自分に合ったものを探す必要がある。
非常に面倒なのであるが、大きな代償を払わないためにやる必要がある。

2)だらしなさ、ズボラさに社会・世間は冷淡

今回の事件のもう一つの教訓は、社会・世間はだらしなさ、ズボラさに冷淡だということ。

気になったので情報収集したが、ほとんどのワイドショーの論調は「だらしなさ」「ズボラさ」を個人の責任とし、その芸能人を一方的に非難するものだった。

ワイドショーは視聴率を取るために作られているため、一般の人々が共感するような論調になる。そのため、一般の人々がどう考えるか?を知る参考材料になる。

世間の人から見ると、「だらしなさ」「ズボラさ」はただ単なる罪悪であり、個人が努力でなんとかすべき問題であるようだ。このページを読んでいる人は、個人の努力ではなんとかならないことを知っている方も多いだろう。
でも、世間は残念ながら、そこまで分かってくれない。

何よりショックだったのは、芸能人の中でも同ジャンルの方々の反応だ。何度も一緒に仕事をして、お互いのことを深く知っているであろう仲間の事件に対し、冷たく突き放す発言が多かったのはショックだった(一部そうではない発言が見られたが)。

これも世の中の真理を表しているのだろう。
例えば、私がADHD特性に由来することで何か大きな問題になることで失敗をしたとする。そうすると、ADHD特性があるかどうかは考慮されずに仕事がなくなる。
私がADHDであることを知らないか、知っているかは関係ない。
事情を知っていてもほとんどが冷淡に仕事を切るのだ。
私はフリーランスという関係で、そういう体験を山ほどしてきた。

残念ながら、それが世の中の実情だ。

 

つまり、「だらしなさ」「ズボラさ」は言い訳にならず、世間は冷淡だ。発達障害の他の多くの特性もそうだと思う。
だから、個人が工夫をするしかない。強くなるしかない。

救いのない話だが、そういう側面を、我々発達障害のある人は忘れてはいけないということを今回の事件から感じざるを得ない。

 
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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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