発達障害のある方で活躍している方の特徴
【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。
ここ一年ほどでお会いした社会で活躍している人のうち、何人かは発達障害のある方だった。以前から活躍していることを知っている方々だったが、発達障害があると知って驚いたものだった。それも自分で根拠なく言っているだけでなく、診断が出ている方ばかりだった。
その方々の共通点を考えてみると、いくつかの特徴があるように感じる。今回はそれを共有してみたい。数人程度の共通点なので、絶対に当てはまるとは言えないが、何かの参考になれば幸いだ。
社会で活躍している発達障害のある方の特徴
特徴1)生きづらさを感じている
まず、その方々も自分たちなりの「生きづらさ」を感じてきているし、現在も感じていた。発達障害の診断が出ているということで、そのような特性があり、そこに何かの困りごとがあったようだ。幼少期に困りごとがあり診断が下された方もいれば、社会人になってから診断が下された方もいた。
ただ、共通しているのは、活躍している方も発達障害があれば何らしかの「生きづらさ」を感じているということだ。このことは個人的には意外だった。発達障害があって活躍している方は、勝手なイメージだが発達障害特性のいい面だけを発揮して爆走しているイメージがあった。しかし、実際私が会った発達障害があるのに活躍している方は、今も何らかの困りごとと向き合っている方が多かった。
特徴2)自己肯定感が高い
次の特徴として、自己肯定感が高いということが挙げられる。
発達障害のために生きづらさがあっても自己肯定感が高いため、むやみに落ち込みすぎることがないようだ。
また、自己肯定感が高いため、自分のいい面を受け取ることができていた。そして、自分のいい面を生かそう、できないことは他人に任せようとする傾向が強かった。
そのためか、発達障害特性による自分の失敗や苦労を笑い話として他人に開示することができていたことも印象的であった。
特徴3)自分が取り組むべき場所がある
また、彼らは自分が取り組むべき場所をしっかりと見つけていた。
自分が取り組みたいテーマに対し、時間をかけて、真剣に取り組んでいる方が多かった。興味があるから特定のテーマに取り組む方もいれば、お金を稼ぎたいから特定のテーマに取り組んでいる方もいた。
どうであれ、自分のテーマに対して真剣に取り組んでおり、その分野で独自の立ち位置を築き上げていた。話を聞くと、自分では当たり前のことをやっていたら誰もしていないことをしているというケースが多かった。
自分が一生懸命取り組んだ上で、オンリーワンの立ち位置になっていることが多かったのだ。発達障害のある方は宇宙人や火星人に例えられることがある。しかし、視点の違いを生かし、独自の成果を挙げていることは、同じ発達障害のある人間として、私も大いに勇気付けられた。
特徴4)努力している
最後に、努力していた。
自分の立ち位置を作り上げるまで、とても多くの時間を費やしていた方が多かった。
辛い状況の中で頑張って成長された方もいるし、好きなことに多くの時間を使っていたらいつの間にか周囲から注目される存在になっている方もいた。
後者を努力したと言っていいのかは分からないが、他者よりはるかに多くの時間を費やすことで、自分の立ち位置を確保している点はやはり素晴らしかった。
これらの方々は本当に魅力的な方ばかりだし、この方々の中での相違点もたくさんあった。ただ、私が見た以上の共通点は、発達障害のある方が活躍していくためのヒントも多く含まれていると思っている。
別に社会で活躍する必要があるとは思わないが、一生懸命何かに取り組む中で、社会で活躍するというケースはあると思う。発達障害がある方が社会で大活躍する。そんなことが当たり前になってほしいと心から思う。
【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。
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