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障害特性への対処法

エンカレッジ天満橋の南川です。
今回は「障害特性への対処法」というテーマでお送りします。

私は、発達障害当事者です。
元々創意工夫するのが好きな性格で、小さい頃から今に至るまで、自分の特性への対処法をたくさん編み出してきました。
エンカレッジでスタッフの仕事をしているのは、そういう経験を他の当事者の役にも立てられたら、と思ってのことです。

障害特性への対処法

障害特性への対処法について考える

さて、「障害特性になんとか対処していきたい!」と思って悩んでいる当事者の方の中には、対処法を本などで自分で調べてみて、こう思ったことがある方もいるかもしれません。

「こんなことができたら苦労しない」
「こんなことをして何になるの?」

つまり、せっかく対処法を勉強しようとしても、自分にはとてもできそうもない方法が書かれていたり、自分の困り事がいまいち解決されなさそうな方法しか載っていなかったりして、途方に暮れてしまった……そんな経験はないでしょうか。

これには、発達障害ならではの事情が関係しているのではないか、と私は考えます。

例えば、(これは障害ではありませんが)今まで視力1.0だった人が、下がって0.5になった場合のことを考えてみましょう。
多くの人が、メガネやコンタクトレンズという道具を使って、目が見えにくいという困り事に対処します。それで大体の問題は解決するはずです。

他方、発達障害の場合は、

✅ 見えない障害であり、何ができて何ができないのか本人にもわかりにくい
✅ 一見同じ困り事に見えても、背後に隠れている原因が人によって全然違うことがある
✅ 一人の人の中で、能力の凸凹が複雑に絡み合っている(ある苦手さをカバーするための対処法が、別の苦手さのせいで現実的には使えなかったりする)

といった要素があるため、「この困り事には、とりあえずこうしておいたら大丈夫」とはいきません。
最初の例のように、「視力が下がったら、メガネをかければいい」というわけにはいかないのです。

しかし、調べてみてもうまい対処法になかなか出会えない理由は、それだけでもないと私は考えています。

良い対処法に出会えない理由、私がオススメする方法

そもそも本というものは、広くたくさんの人に読んでもらうことを狙って書かれています。

広く浅くが「本」

その性質上、できるだけ多くの人が実践できて、かつ、それなりによさを実感できるような内容だけにどうしても偏ってしまう部分があるように思います。いわゆる「広く浅く」ですね。
逆に言えば、自分というたった一人に完全にフィットするような対処法というのは、本の中には見つけにくいものかもしれません。

もちろん、本で得られるような情報も基礎知識やセオリーとして知っておけると役に立つでしょうが、もっと「狭く深く」な情報が欲しいときもありますよね。
そんなとき、私は他の当事者が発信する語りを参考にしています。

中でも、無名の当事者がひっそりと趣味で書いているようなSNSやブログなどでは、各個人が生き延びるために練り上げてきたその人専用のナマの対処法をたくさん見ることができます。
その中にはバチッとハマる対処法もあるかもしれませんし、たとえ対処法そのものは合わなくても、独自の考え方や視点にハッとさせられることもあります。

当然、内容は玉石混交なので自分で試して見極めていく必要はありますが、自分で判断していけそうだなという方は、本だけでなく当事者発信の情報も取り入れてみることをオススメします。

人に頼ることも一つの対処法

では、情報の見極めが難しいと感じる方、自分でいろいろ試すのが苦手だという方は、ぴったりの対処法に出会えないのでしょうか?
そんなことはありません。
それならそれで、他の人の力を借りながら一緒に探していけばいいのです。「人に頼る」というのも、立派な対処法の一つだと思います。

人に頼る

そして、エンカレッジのような就労移行支援事業所は、まさにそういうことができる場所でもあります。
利用者の方がしっかり働けるよう、ぴったり合った対処法をその方と一緒に作り上げていくのが私たちスタッフ(支援者)の仕事ですし、なんなら利用者仲間からもそれぞれの「対処法トーク」を聞けるかもしれませんね。

とはいえ、対処法は魔法ではありません。困り事がきれいさっぱり完全に楽になることはありません。
冒頭のたとえ話で言えば、メガネを取れば視力は元通り低くなり、そしてメガネにはそれなりのお金や手間もかかります。
障害特性への対処も同じで、障害のしんどさが根こそぎなくなるなんてことはありません。
叶うことのない「完治」を目指してしまうと、叶わないがゆえに余計苦しくなります。
それよりは、日常生活が今よりもう少しだけスムーズになることを目標にしてみませんか。

どうあがいても変わらないしんどさを抱えながらも、それでも、どうにか日々を生きていく。
対処法とは、その道程を照らしてくれる小さな灯りなのかもしれません。

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