天敵・飲み会(1)~苦手な理由~

「飲みは好き?」と聞かれたら、私は迷わず答える。「好き」と。
「飲み会は好き?」と聞かれたら、私は迷わず答える。「嫌い」と。

私はお酒を飲むのが好きで、人と飲みに行くのも好きである。少人数であるならば。
飲み会として人数が増加すると、一気に苦手となる。
会社の飲み会になるとより大変。接待になると苦痛でしかない。※1
しかし、社員として働いている限り、飲み会は高い確率で実施される。

残念ながら日本企業の多くでは飲み会を大事にする文化が残っている。
そんな企業にいる発達障害当事者にとって、飲み会が大きなハードルになっている場合がある。

ではなぜ、発達障害当事者は飲み会が苦手なのか、そしてどんな対策を取ることができるのかを2回に分けて考えてみたい。

発達障害当事者が飲み会を苦手とする理由

飲み会が苦手な理由は大きく3つある。※2
(1)多くの場所で会話が発生する
(2)多くのルールがある
(3)空気を読むことが求められる


(1)多くの場所で会話が発生する
大人数の飲み会では多くの場所で会話が発生する。会話がどんどん展開される。
いつの間にか会話しているグループメンバーが増減したり、
グループ自体が消滅・統合する。とにかく変化が早いのだ。
健常者の方は、その変化に当たり前についていく。しかし、それが苦手な人もいる。

私の場合は、グループの変化についていくことが苦手だ。
いつの間にかグループメンバーが変化していて、
参加しているつもりの会話から外されていることがある。
なんで外されているかが分かるかと言うと、
口を挟むと「お前参加していたんか?」という表情で驚かれるからだ。
ずーっと会話に参加していたつもりだった私からすると、寂しい気分になる。


(2)多くのルールがある
会社員時代、コース料理ではない飲み会で上司から「好きなものを頼め」と言われた。
だから高いメニューをいくつか頼んだら、上司が露骨に嫌な顔をした。
そっと先輩に呼び出されて「そこそこの値段に抑えるもんだよ」と注意された。
心の中で「知りませんやん!」と思ったが、社会では知らない私が悪いらしい。

このように、飲み会にはルールがたくさんある。
社会人の常識とされているものもある。会社毎のローカルルールも多くある。
このルールを外れると「非常識」として非難される。
非難されなくても、悪い印象を持たれる。

当事者として言わせてもらうと、飲み会のルールは「暗黙」のものが「多すぎる」。
普段から明確に言語化されていないルールは発達障害当事者にとって分かりにくい。
そして、このようなルールが山ほどあるのだ。
席順・ビールの注ぎ方・会計の仕方etc……。
健常者の方からすると「常識」として当たり前に分かるものでも、
発達障害当事者はわからないものが多いのだ。


(3)空気を読むことが求められる
(1)(2)にも関連していることであるが、飲み会ではとにかく空気を読むことが求められる。
できる人からすれば当たり前かもしれない。が、苦手な人からするととても難しいことである。
特に会社の飲み会・接待で求められる空気を読むのは至難の技だ。

例えば、グラスが空になったら、ビールを注がないといけないらしい。
これを実行するためには、
(1)自分が注ぐべき相手、注がなくてもいい相手(目下など)を判別しておく
(2)定期的に周囲の人のビールの残りをチェックする
(3)ビール瓶にビールが残っているかチェックする(ないと、注文する)
(4)会話中のちょうどいいタイミングでビールを注ぐ
という4つのことが求められる。

健常者の方は「空気を読む」ことでこの4つができるらしい。私からするとできる人は魔法使いのように感じる。
昔の私は、この4つを実行しようとすると、それだけで全神経の70%くらいを使わなければならかった。
飲み会にはほぼ参加できないことになる。
空気が読めない人にとって、ビール注ぎはそれだけ高い難易度である。


以上のようにまとめると、飲み会は日本企業・日本の文化に求められるもののうち、
発達障害当事者にとって苦手なことが極端な形で集められた会のように感じる。


職場に発達障害当事者がいる場合、その方は飲み会にこれほどの困難を感じているとご理解いただければと思います。
そして、以下の支援をお願いできればと思います。
(1)飲み会に参加したくない場合は、飲み会に参加しなくてもいいようにする。
(2)飲み会に参加する場合は、飲み会に適応できるようにフォローする。


では、発達障害当事者は飲み会にどう対応していけばいいのか。
それについては次回に説明します。

※1
現在私はフリーランスなので、会社・接待は過去の話になります。
現在も仕事に関する飲み会のお誘いは多いですが、自己責任で断ることができます。
また、自己責任で参加した飲み会でたくさんの失敗をして、
実際に仕事を失ったこともあります。
同時に、飲み会でたくさんの機会もいただきました。

※2
私の体験・周囲の方の体験をまとめたものです。発達障害を持つ人はとても
多様なので、全部が全員に当てはまるわけではないことをご了承ください。

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かめたーとる

かめたーとる かめたーとる ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。