NewASD(旧アスペルガー症候群)のある方向け仕事上の暗黙のルールに対処する方法

発達障害のある方は、その特性・特徴から、就職して仕事をする上で苦労することは珍しくない。
今回はASD(自閉症スペクトラム・旧アスペルガー症候群)のある方向けの仕事術について書いてみたい。

ASDのある方は特徴上、仕事の「暗黙のルール」がわかりにくいことがある

ASDのある方は、曖昧なこと・目に見えないものが苦手という特徴や、人の感情や言葉のニュアンスを読み取ることが苦手という特徴がある。
このような特徴の結果、仕事では暗黙のルールが分かりにくいという問題を抱える場合がある。これは就職して仕事をする上で、大きなデメリットだ。

私は発達障害に関する精密検査を受けた時、一部だがASDの特徴があると指摘された。それが、暗黙のルールが分かりにくいという点だった。
そんな理由もあり、私は就職して社会人になってから仕事で相当に苦労した。
<天敵・飲み会(1)~苦手な理由~>でも書いたが、例えば飲み会での暗黙のルールがなかなか理解できず、仕事での飲み会の度に怒られていた時期がある。
また、自分の担当する業務でも苦労した。就職後、新入社員時代に会議資料のデータを人数分プリントアウトするように指示されたが、ただプリントアウトして会議に持ち込んだところ、ひどく怒られたことがあった。ページ数の多い資料にホッチキスを止めていなかったからだった。ホッチキスを止めてくれと指示された訳でも、教えられた訳でもなかったので、怒られたことに驚いた。

その他、今まで私が理解できなかった、指摘されるまで気が付かなかった仕事上の暗黙のルールはたくさんある。日本社会では一般的とされる暗黙のルールに加え、会社独自の暗黙のルール、部署独自の暗黙のルールもある。
例)
・重要な物事を決めるときは、隣の部署のAさんに根回ししないといけない
・作業Bをやってから作業Cをやる
・飲み会は二次会まで参加しないといけない
・仕事が終わっても上司より先に帰ってはいけない
・始業時間の10分前には席についていないといけない

このような暗黙のルールに私は振り回されてきた。部署移動をした時や転職をした時、仕事上の暗黙のルールが全く分からずに、無意識的にルール破りをして、早い段階で信用されなくなった経験も何度かある。
(余談だが、フリーランスのいい点は会社内・部署内の暗黙のルールがないところ)

暗黙のルールは、発達障害のない方には自然とそのうち理解できるものらしい。ただ、ASDの特徴のある方、暗黙のルールを読み取れない方からしたら、自然と理解はできない。理解できないままに、ルールを破ってしまい、職場で浮いてしまう。

ASDのある方向け、仕事の「暗黙のルール」対策

では、ASDの特徴がある方が、仕事上で暗黙のルールに対応するためにはどうしたらいいのか。

オススメはマニュアルを自分で作ることだ※1。仕事の進め方、業務の手順、職場での過ごし方をできるだけ文字化・図示しよう。これは、仕事のやり方やルールを明文化する作業になる。

自分用のマニュアルができると、それを守れば仕事や人間関係上でルール違反をすることはなくなる。そのため、問題が起きにくくなり、安心して仕事ができるようになる。

また、暗黙のルールが多い会社では、その場の空気に合わないことがあれば他者から指摘を受けたり、怒られたりすることもある。そんな時、上司の方公認のマニュアルがあれば、誤った指摘に対して反論もできる。

自分でマニュアルを作った方がいいのは、自分に適した手順・こだわりを業務に組み込むことができるからだ。ASDのある方は、手順・やり方にこだわりが強いという特徴もある。他者の作ったマニュアルは自分に向いていない手順であることも多い。自分でマニュアルを作ることで、自分に適した手順・こだわりを業務に組み込むことができ、かなりのストレス軽減になる。
ただし、マニュアルを作る上では、できるだけ上司に見てもらい、すり合わせを行おう。職場の仕事の進め方、上司の意向と合っているかを確認することは重要だ。

また、マニュアルを作る作業自体が、ルールの深い理解につながる。文字化して整理することはそれだけ大変ではあるが、暗黙のルールの理解ができるようになれば、仕事を適切に行う上で大きなメリットとなる。

ポイントは、更新しやすい形に作ること。自分が注意した方がいい点に気がついたり、仕事で失敗したりしたときに、そのマニュアルが更新しやすいと、すぐに反映できる。
失敗や指摘事項があれば、そのマニュアルをどんどん更新していこう。そして、完成度をどんどん高くしていこう。その分、仕事がしやすくなっていくだろう。

※1 ADHDのみある人は、特徴上そもそもマニュアルを守るのが苦手なので、あまりオススメしません。

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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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