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ADHD当事者かめたーとるの締め切り対策

【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。

 

ADHD特性の宿敵、「締め切り」

「締め切り」「提出期限」
私にとって、この言葉より嫌いな言葉は今のところない。

ADHD特性によるものか、昔から、時間に間に合わせることが非常に苦手だった。

遅刻する、夏休みの宿題は提出期限に遅れる、公共料金の支払いが遅れる、
必要書類を締め切りまでに提出できない、などなどで非常に苦労してきた。

締め切りに間に合わないのは、

(1)そもそも忘れる
(2)覚えていても先延ばしする

という2つのパターンがあるが、今回は後者の方を書く。

私は締め切りを覚えていても、手をつけられないことが非常に多い。

例えば、3日後の17時までに資料を提出しないといけないとする。
資料は作成するのに3時間ほどかかりそうだ。

だいたい取り組まない。他のことをやる。
そして、取り組んだとしても手がつかない。全く進まない。

実質的な資料作成が始まるのは、大体3日後締切当日の16時頃から。明らかに間に合わない。
一気に資料を作り上げ、少し遅れて提出するが、そこにはADHD特性に由来するたくさんのミス。

こういうパターンを何度も繰り返してきた。
もちろん、期限を守れていないので信頼は低下する。

会社員時代は、怒られまくった。
フリーランスになってからは、提出期限を越えて提出し、次の仕事がなくなったこともある。

非常に困るので、何度も対策しようとした。
例によって様々な方法を試したが、どうもうまくいかない。

そして、今でも締め切りを守ることが得意なわけではない。
ただ、以前よりかなりマシになったので、どんな対策をしているか書きたい。

なお、ADHD特性を持つ人が、締め切りを遅れるのは衝動性が関係しているという説がある。
興味のある方は、ピアーズ・スティール「ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか」(リンク:http://books.cccmh.co.jp/list/detail/847/ (CCCメディアハウス))をお読みください。

「締め切り」に無理なく間に合わせる対策

私がしている対策は3つ

対策(1)「他者との締め切り」の前に「自分の締め切り」を設定する

→他者との締め切りは社会生活を営む上で守らなければならない。
が、他者との締め切りに焦点を合わせると、少しのトラブルで間に合わなくなる。
また、他者との締め切りに間に合わないと、「罪悪感」「自己嫌悪」から精神的に辛くなる。

そこで私は、他者との締め切り前に自分の締め切りを設定し、
自分の締め切りを守ることに焦点を当てて考えている。

例えば、大学での講義では1時間前到着を自分の締め切りにしている。
すると、電車やバスに乗り遅れるなどのトラブルがあっても20~30分前に到着して問題にならない。

また、資料作成はページ数や難易度によるが、1日~1週間前を自分の締め切りにしている。
すると自分の締め切りを送れても、少しは作業が進んでおり、直前に一気に作り上げるパターンにならなくて済む。

そして、自分の締め切りは「がんばるが、守れなくてOK」と考えている。
だから自分の締め切りを守れなくても「罪悪感」「自己嫌悪」を感じない。辛くならない。

私は自分の締め切りの多くを守れていないが、
自分の締め切りを設定することで、他者との締め切りを守りやすくなり、
精神的にも楽になった。

対策(2)依頼者に締め切りを前倒しにしてもらう

→会社員時代は上司、フリーランスになってからは発注者に対し
私だけ仕事の締め切りを早めに設定してもらうようにお願いしている。

これは、以前ある上司に
「お前は、忙しくても、忙しくなくても締め切りに少しずつ遅れる」
と言われたことがきっかけ。
(ちなみに、その後「だからお前は仕事に本気を出していない」という説教に……)

忙しくなくても締め切りに遅れるのであれば、仕事の忙しさは関係ない。
と考えると、「私は締め切りを守れない生物なんだ」と思えるようになった。

それから、私はADHD傾向を持っていることを周囲に伝え、締め切りを守ることが苦手であることを発注者にできるだけ伝えるようにしている。
そして、私の締め切りを「どうせ遅れる」から余裕を持って設定して欲しいと伝えている。
(本当に締め切りを知ると、そちらに合わせてしまうから知らないようにしている)

ある企業と仕事をしたとき、書類の提出期限が私だけ3日早かったことを仲間から教えてもらった。
「この会社は俺のことをよく理解して対策してくれているな」と感じ、安心して仕事をできるようになった。

対策(3)薬(コンサータ)を飲む

→これは当ブログの趣旨から外れるかもしれない。
が、私にとって、コンサータの服用は締め切り改善にかなり大きな影響があった。

詳しいメカニズムはわからないが、コンサータが効いている時間、私のADHD特性からくる衝動性は少し改善されるようだ。

先ほどの例で言うと、服用していない時、3日目の16時になってようやく資料作成に取り組むことができた。
それまでは、取り組もうとしても手につかなかった。
しかし、コンサータを飲むと、3日目の13時から資料作成が取り組み始めることができる。そんなイメージだ。

前者だと確実に遅れる。後者だと少し早く資料を作り終え1度チェックを行うこともできる。
前者だと信頼をなくす。後者でもミスが残るところが悲しいが、品質が十分であれば良い評価になる。

取り組む時間を「少し」早めることができるようになったことで、受け取り手の評価に大きな影響を与えた。

なお、コンサータは、薬の性質上、一定の基準を満たす登録済みの医療機関や薬局でのみ処方できる。
容量を見極めることが必要で、副作用もあるので信頼できる医師にまずは相談し、よく検討して処方してもらう必要がある。
また、ADHD当事者でも、効果のある人・ない人がいる。

私の場合、飲み始めた当初はあまり効果がないかなと思っていた。
飲んだところで、何か変化があったようには感じなかった。

薬価が安くないこともあり、服用をやめることも検討していたが、
コンサータを飲んでいる時に、締め切りに間に合いやすくなっていることに気づき、
私にとって大切な薬となった。

薬を飲むことで、締め切りが間に合うようになった人もいるよという参考になればと思う。

(1)~(3)の対策は、私に効果があったもの。他のADHDの方に役立つかどうかはわからない。
しかし何かの参考になれば幸いです。

なお、言うまでもなく、このブログも締め切りギリギリに書いている。
締め切りには間に合ったはず。多分。

優しくて、有能な担当者の方なので、2~3日遅れても大丈夫なだけの締め切りにしてくれていると、勝手に期待しているが。。。

私信(担当者の方へ):今度お菓子持っていきます。

 
かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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