発達障害を才能に変えるための3つのプロセスとは

「発達障害者=天才」論というものがある。
発達障害のある方は発達が凸凹なので、苦手な部分も多いが、
得意な部分はずば抜けて才能があるというものだ。
よく歴史上の才能ある偉人にも発達障害があったという文脈で説明される。
私の見たところ、この意見は支援者側や出版された本に多い。

一方で、「発達障害者のほとんどは凡人」論というものがある。
発達障害のある方の大部分は凡人で、一部の天才は例外的だというものだ。
私の見たところ、この意見は発達障害当事者に多い。

発達障害者とは、天才か?凡人か?

どちらが正しいのか。
発達障害(ADHD)当事者である私は「発達障害者のほとんどは凡人」論を長い間信じてきた。
ADHD特性により仕事がうまくいかず長く苦しんでいた時期は、
自分に才能があるとはどうしても思えなかったのだ。
しかし、最近は考え方が少し変わってきた。

最近は以下のように考えている。
「発達障害者は特別な才能を持っている。しかし、活かしているのは一握りしかいない」
「自分の才能を活かした発達障害者は天才的な業績を上げている」

なぜそう考えるようになったのか。
発達障害傾向のある複数の友人・知人を見ていたからだ。
その友人・知人たちは社会や会社で適応できず苦しんでいた。
しかし、自分を活かす方法を見つけた結果、才能を活かし、
それぞれの場で活躍し始めたのだ。
(もちろん現在進行形で苦しんでいる人も多い)

例えば、私の知人(ADHD多動型)は会社員として何度も転職を繰り返したのだが、
ある営業会社に入ると、急に高い成績を出すことができるようになった。
営業スタイルがちょうど彼に合っているそうだ。

私自身も、たまたま「講師」という才能のある(と自分で思っている)分野を発見し、
それを活かすように努力することで、かなり生きやすくなったように感じている。

このように発達障害のある方が才能を発揮することができれば、
その天才性を発揮することができると私は考えている。
では、その才能はどのようにすれば発揮することができるのか。

簡単なことではないと思う。
しかし、才能を活かすことにつながる3つのプロセスがあると思う。
(1)いろいろ取り組む
(2)長期間取り組む
(3)環境を作る

発達障害当事者が才能を活かす3つのプロセス

(1)いろいろ取り組む
自分にどんな才能があるのか何度も考えるより、
実際に体験して合うものを見つける方が早い。
そのためにはいろいろなことに取り組むことが近道である。

私は2社目の企業で不適応を起こし、逃げるようにして会社を辞めた。
会社員としてうまくやっていく自信がなかったからフリーランスとなった。
そこで多様な仕事を経験した。
データ入力、イベントのお手伝い、告知文の作成、町屋の運営補助、落語会の集客……

たくさんのことを経験させてもらった。ほとんどのことがうまくいかなかった。
次の依頼が来なかったことで分かった。

唯一継続的に収入を得ることができたのが、塾でのアルバイト、
大学生への就職活動支援だった。そして現在はその延長線上で仕事をしている。

私の例は極端かもしれない。だが、発達障害がある方の場合、
できること・できないことの差がはっきりしやすい。
その中で得意を見つけていくことで、才能の種を見つけることができる。

ポイントは小さく始めることだ。
いろいろ取り組むために、毎回転職をする必要はない。社内の仕事でも、
ボランティアでもいい。
まずは、小さなことで取り組む方が収入を失うリスクが少なくて済む。


(2)長期間取り組む
才能の種を見つけたとしても、すぐに開花するとは限らない。
才能の種をじっくり育てることが必要となる場合もある。

特にADHD傾向のある方は、じっくりと才能の種を育てることが
苦手かもしれない。しかし、簡単には諦めないでほしい。

私の場合は、お金に困って塾でアルバイトをしたことが講師業を
始めるきっかけだった。
大手の進学塾に入ったが、講師デビューまでに3回審査があった。
私はその審査で何度か落ちている。かなり手間取った。

講義内容は高評価だった。
しかし、1)黒板の字が汚い、2)言い間違えが多い、という2点が課題だった。
早く時給を高くしたかった私は地道に何度も練習することで課題をクリアした。

このように、才能があったとしても周辺業務で苦手なことが発生する場合もある。
そこで挫折するのはもったいないように思う。


(3)環境を作る
自分の才能を活かすことのできる環境を作ることは非常に大事である。
例え才能が開花していたとしても、発達障害のある方は環境を作らないと、
うまく適応できないケースが多いように感じる。

例えば、私は講義である程度実力がついてからも、ADHD特性が原因で問題を
起こし続けていた時期がある。
そのため、講義自体の評価は高くても、総合的な評価は低く、
なかなか仕事が増えなかった。
この時期、私は講師を廃業するか本気で迷っていた。

自身のADHD特性を踏まえた上で、仕事のあり方コントロールをすることで
ようやく、ADHD由来の問題を起こさなくなった。

このとき、環境を自ら作ることの大切さを知った。
私の場合、以下のように環境を調整している。

 1)特定の仕事相手と関係を深めすぎない
   →関係を深めすぎると苦手な分野の仕事も要求されることが多い
 2)ADHD特性を受け止められない相手とは仕事をしない
   →どうせお互いうまくいかなくなる
 3)自分の特性と合わない依頼はどんなにいい条件でも断る
 4)重要な資料作成は同僚講師にチェックをしてもらう

自分が仕事をしやすい環境を作ると、問題が起きにくくなり、仕事がしやすくなった。
自分から環境を変えられるよう、動くことがとても大事だ。


以上のような形で才能を活かすことができるようになると、働くことが楽しくなる。
収入も向上する可能性が高い。
才能を活かすことは簡単にできることではないのかもしれない。
しかし、発達障害のある方は全員がすごい才能の持ち主であると私は信じている。

一人でも多くの発達障害のある方が、自分の才能を活かせるようになることを願っています。

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かめたーとる

かめたーとる かめたーとる ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。