ASD(旧アスペルガー症候群)のある方が仕事で才能を発揮するには

「才能」の二文字を難しく考えすぎないようにしよう

「発達障害のある方は天才である」「発達障害のある方は才能がある」といった議論はよく聞く。
発達障害当事者としての私は自身の考えは、「発達障害のある方は特別な才能を持っている。しかし、活かしているのは一握りしかいない」というものだ。

その発達障害のある方の才能を活かすための私見を以前このブログで書いたのが
<発達障害を才能に変えるための3つのプロセスとは>だ。

今回は、さらにASD(旧アスペルガー症候群)のある方と才能の関係について書いていこう。

ASDのある方の才能というと、サヴァン症候群を思い浮かべる方がいるかもしれない。ごく特定の分野に限って天才的な力を発揮する症状である。
例えば、何千冊もの本を丸暗記する、大きな桁のかけ算を一瞬で行うなどが挙げられる。
ただし、サヴァン症候群はASDの方の約10人に1人と言われ、一部の方にしか当てはまらない。

確かに、上述のようなサヴァン症候群の方々の才能は驚異的だと思う。しかし、これは才能としては限定的なものだ。また、才能というと、「ピアノの才能」「サッカーの才能」などのように、特定の職業に紐付いたものと思われがちであるように感じる。

今回は、そのような特殊な天性はなく、才能を「仕事の中で特別に役立つ能力」程度の意味で考えたい。

ASD(旧アスペルガー症候群)のある方が才能を見つける方法とは

では、ASDの方が仕事の中で活きるような才能を見つけるにはどうしたらいいのか。
私がオススメするのは、特性のネガポジ変換だ。
ネガポジ変換とは、否定的な言葉を肯定的に言い換えるのだ。例えば、「飽きっぽい」という否定的な言葉を、肯定的に言い換えるのであれば「好奇心がある」になる。

仕事をする上では、その業務の性質・会社の社風・与えられた環境によって仕事で求められる要素、求められない要素が変わってくる。
発達障害である自分の特性をネガポジ変換しておくと、その特性があるが故の長所や才能を見つけることにつながる。

例えば、ASDの方には「突発的な対応が苦手」な方がいるが、これをネガポジ変換すると「決定された手続きの仕事は得意」ということになる。これは、定型的な手続きの仕事になるとミスと納期遅延を繰り返す私からすると、とてもうらやましい能力だ。

このように、自分が抱えている短所・特性が長所だとすると、どのようなものなのかを考えてみよう。と、言っても深刻に考えるのではなく、「こんなことあるかな~」くらいの軽い気持ちで、1つの短所・特性に対して3つほど候補を考えてみる。

複数の短所・特性から数多く候補を出し、自分に当てはまりそうなものを選ぶ。または自分のことをよく理解してくれている人に、当てはまりそうなものを選んでもらう。そうすることで、自分の才能(仕事の中で特別に役立つ能力)を発見できる可能性がある。

そして、才能を発見した後はどうするか。
現在仕事がある方の場合は、才能を活かせる環境を作れないか努力する。自分の仕事を工夫することもできるし、上司や同僚と相談して環境調整をしてもらえないか相談することもできる。
また、これから就職活動を行う場合は、実習などを通して、自分の才能を生かせる環境かどうかを確認しておく。
このような努力が重要かと思う。

ASDのある私の友人の場合、あいまいな表現が理解できない。しかし、その長所として、意味が明確な文章については非常に高い読解力を持ち、同時に意味が明確な文章を書くことができる。その才能を、彼は法律系の仕事に見出した。契約書の作成など、あいまいさを極力省いた文章を作る上で、彼の特性=才能は大きく活きているそうだ。

才能を特別な事象と思いすぎない。そして、自分にASDの特性をネガポジ変換し、仕事上で役に立つ才能を見つける。その才能が生きるよう、仕事を選んだり、周囲の方に環境調整をお願いしたりする。

このようなプロセスを経ることで、自分が仕事の中で特別に役に立つ才能を見つけることができれば、ASDの方がより生きやすくなるように思う。

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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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