感覚過敏の大変さについて

以前、「子供に凸凹・発達障害があったら」で私の3歳の娘に軽度の凸凹があることを書いた。
現在、娘は保育園に通い、少人数の中で先生に見てもらっているので、大きな問題が生じていない。しかし、次年度から幼稚園に進学する予定で、先生1人あたりの生徒数が増えるので、うまく適応できるか不安を感じている。

音に対して非常に過敏になる「聴覚過敏」

そんな娘の発達障害傾向を意識させられるのは場面の一つが、聴覚過敏だ。
娘は大きい音が異常に苦手で、何か少しでも大きい音があればすぐに耳を防いで逃げ出す。

情操教育のためと思って音楽コンサートに連れて行き、開始1分で外にでた。本人が見たいというので連れて行ったアンパンマンの映画は少し我慢したが、やはり耐えきれずにすぐ外に出た。このように、音に対して非常に過敏である。
だからと言って、すべての音が苦手というわけではない。大好きな音もあったりする。映画の音は苦手でも家のTVの音は平気だったりと、苦手な音がどのようなものかもよくわからない。でも、かなりの場面で娘は音を嫌がるのだ。

発達障害のある方に見られる感覚過敏

このような聴覚過敏は発達障害のある方に見られることがある。特に、ASD(自閉症スペクトラム・旧アスペルガー症候群)のある方に多いとされる。
聴覚過敏以外にも、光が眩しく感じすぎるなどの視覚過敏、特定の味や食感に強い不快を感じる味覚過敏、香水など特定の匂いをひどく嫌う嗅覚過敏、特定の服の素材やタグなどに敏感な触覚過敏などがある。

私にはこのような感覚過敏がない。そのため、感覚過敏があることは知っていても、その大変さには思いが至らなかった。しかし、いざ娘に聴覚過敏があると、その大変さに驚いた。

例えば、あるショッピングモールに入る時、駅から一番近い入口を通ろうとせず必ず別の入口に向かう。なぜなのか分からなかったが、最近妻から聞いてようやく理由がわかった。一番近い入口にある空調の室内機の音が嫌なのだ。私はそこに室内機があること、室内機から音が出ていることさえも、気づいていなかった。

他の空調の音は平気なのだが、その空調の音だけ苦手なのだ。今の所は問題ないが、これから行く幼稚園や小学校の教室で空調の音が苦手だったら、それだけで娘が適応できなくなる可能性が高い。かなり大きなリスクだ。

また、娘は拍手の音が苦手だ。複数人が拍手をしている音を聞くと、耳を防いで逃げようとする。これも幼稚園や小学校に行くと、困りごとになりそうだ。

感覚過敏に苦しむ人は少なくない

このような感覚過敏は、発達障害特性の中でも、困りごととしてあまり認識されていないように感じる。
ADHDであれば、多動性・衝動性・不注意性が取り上げられる。ASDでは、コミュニケーション・社会性・想像力が取り上げられる。
ただ、本人の困りごとの大きさは感覚過敏も小さくないように思われる。

以前、大学で講義をしている時、とある学生から座席について配慮をしてほしいという要請があった。詳しく状況を聞くと、座席指定制の講義であったため、窓の近くのその学生の位置から近くの高速道路の音が聞こえ、それが極めて不快であるとのことだった。その時は、教務課と相談の上、座席を変更できた。

このような感覚過敏に苦しむ人は、少なくないように感じる。しかし、発達障害と比べても理解が進んでいないため、当事者が言い出しにくい環境にあるのではないだろうか。
私は自分自身に発達障害があり、このようにブログを書かせてもらっているので、発達障害に関することは普通の方よりは詳しいだろうと思っていた。

しかし、感覚過敏については娘に聴覚過敏があることがわかるまで、恥ずかしながら全然気にしたことがなかった。
感覚過敏の存在とその大変さについては、社会にもっと広まってほしい。社会に認知が広まらないと、配慮が受けられにくいからだ。

娘が幼稚園に入るまでに認知度が高まることは期待できそうにない。だが、彼女がせめて中学生になるためには広まってほしいなと強く思う。
少しの配慮で大きく生きやすさが変わるのは、他の発達障害特性と同様なのだから。

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かめたーとる

【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。

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