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「困ったら相談する」クセを身につける

【執筆者】星明 聡志
北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか 所長

 

みなさん、こんにちは。
「じぶんを知る『じぶん学』のチカラ」も第2回となりました。

今回は、“相談”について取り上げてみます。

発達障害のある方も社会で“相談”をうまく使っていくために

みなさんは、困った事や悩み事などを人に相談していますか?
誰に、どんな風に、相談していますか?
相談する内容によって、相談者をかえている人もいるでしょうか?

辞書によると“相談”とは、問題解決のために話し合ったり他人の意見を聞いたりすること、またはその話し合い、などを意味するようです。

“相談”という言葉はとても曖昧な意味を含んでいると、僕は個人的に思っています。上記の辞書の言葉から考えてみると、

・何を問題とするのか?
・何を解決したいのか?
・何を話し合いたいのか?

など、“相談”という言葉には色々な要素が含まれているように思います。

相談内容は相談者個人の重要度や優先順位などによっても違う場合があり、

「こんな簡単そうに思えることを人に相談してもいいのだろうか?」
「相談しようと思ったけど、相手がとても忙しそうなので自分ひとりでなんとかしよう」
「今の悩みを誰に相談していいか分からない」

など、相談の基準は個人によって様々です。

また、「発達障害」・「相談」という観点で考えてみると、

・相談内容を相手に分かりやすく伝える
・自分で解決すべきか、人に相談すべきかなど、相談内容の取捨選択をする
・相談内容によって、相談相手を柔軟にかえる
・いつ、どのタイミングで相談すればよいか、優先順位や計画を立てる

など、コミュニケーションや想像力の障害特性ゆえの難しさは、いろいろとあるように思います。

ジョブジョイントおおさかに通所している発達障害のある人たちの話を聞いていても、学校や社会人のときに“相談”をうまく使えず、結果的に我慢したりしんどくなったりして、生きづらくなった人が多いように感じます。
また、今までの経験上、「人の助けを借りる」「人を頼る」といった経験も少なく、自分ひとりで解決(結果的に我慢したことになっていますが……)せざるを得なかったのだと思います。
(自分のことをわかってくれる理解者が身近にいなかったから相談できなかったケースもあるとは思いますが……)

発達障害のある方が「困ったら相談する」クセを身に着けるコツ

社会人になって働き続けていくには、相談するスキルを少しずつ身につけていくことがとても大切です。
ここでは、僕なりの考えをお伝えしたいと思います。

(1)自分ひとりで解決しない

我慢せず、無理をせず、遠慮なく人を頼っていいと思います。
小さな我慢でも、チリと積もれば山となり、疲れてしまいます。
「相談するべきか悩む」と思うなら、「悩むときは相談する」と自分ルールを決めて相談することをオススメします。

(2)些細なことでも人に話して聞いてもらう

些細なことでも相談にのってもらうのは、恥ずかしいことではないと思います。
人に話す(アウトプットする)ことで、あなたの考えや悩みを自分なりに整理できたり、気持ちが楽になったりする効果も期待できます。
小さな悩みでも、できるだけ人に話して聞いてもらいましょう。

(3)相談内容が複雑なときは事前に紙などに書いてみる

箇条書きでも、時系列でもいいので、あなたが今思っていることを書きだしてみましょう(アウトプット)。それによって、考えや思いを整理できるかもしれません。
まとまりのない文章でも、メモ書きでもいいので、書いた紙を相談相手に見てもらいながら相談し、必要に応じて口頭で補足説明するとよいでしょう。
発達障害に限らず、人は誰でも視覚的なものの方が理解しやすいです。言葉だけで伝えるより、文字で伝えるほうが理解しやすい人も多いので、紙を見せると相談がよりスムーズに行えると思います。

(4)相談を聞いてもらった後は、必ず感謝の気持ちを伝える

家族や友人、支援者、上司、同僚など、どんな人に対しても話を聞いてもらったら必ず「ありがとうございます」と感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう。
相手の人は、時間を割いて相談にのってくれています。あなたにとってよいアドバイスがもらえなくても、話を聞いてもらったことで気持ちがすっきりしたり、自分の考えが少し整理できたり、相談による効果はきっとあるはずです。
丁寧に感謝の気持ちを伝えれば、また困ったときはきっと相談にのってくれると思います。

人を頼る・相談をするといった行動は、自分を成長させてくれる側面もあります。話を聞いた相手の人はあなたとは違う視点で考え、話してくれます。つまり、相談することで「自分とは違う意見」を知り、学ぶことができます。
それを、素直に受け止め、アドバイス通り実行してみると、案外うまくいくことも多いはずです。

ぜひとも、「困ったら相談する」というクセを身につけてみてくださいね。

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【星明 聡志】
社会福祉法人北摂杉の子会ジョブジョイントおおさか、所長(2014年より現職)。 学校を卒業後、障がいのある人の地域生活支援の仕事をして10数年。就労支援に限らず、生活支援・余暇支援・お子さんの支援など、ライフステージごとの色んな支援に携わってきた。最近は、「ASDのある人の自分らしい働き方・生き方をデザインすること」を自分のテーマとし、型にはまらない生き方の良さを創造しようと日々奮闘中。ライフワークとして楽しみながら働くことをモットーとしている。 趣味は、登山、散歩、読書。1時間近く半身浴しながら読書することが日々の至福のひと時。今年は、北岳、仙丈ヶ岳、槍ヶ岳への登頂を目標に、マイペースにトレーニング中。

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