オンライン面接のポイント(1)~環境対策~
【執筆者】かめたーとる
【プロフィール】
ADHD当事者。大学でのキャリア教育や就職活動支援、企業での障害者雇用の研修講師を務める。
先日、私が非常勤で行っている大学の教授と話していると、「今のところ(2020年6月時点)、内定をもらっている学生が例年と全く違う。ほとんどweb面接だったことが原因だと思う。」と言っていた。
新型コロナウィルスの影響による就職活動の変化
新型コロナウィルスの流行と採用活動のオンライン化に伴い、就職活動に大きな変化があった。記事を執筆している時点で(2020年7月前半)、一旦収まったコロナウィルスには第二波が来ており、今後再流行する可能性が十分にある。
ただ、一方でこれ以上経済を止めておけないという事情もあり、経済活動はそのまま復活する可能性が高い。
そのような中で、面接がリアルに回帰するか、オンラインが主流になるのか、両方の併用になるのかは、正直まだ見えてこないが、コロナウィルスの流行が収まったとしても、学生にとっても企業にとっても手間がかからないweb面接は一定数使われるのではないかと思う。
そのような中で、学生を含む求職者側、求人を行う企業側の両方がweb面接の特性を知り、その上での対応をすることが求められている。
特に、発達障害がある場合は、リアルの面接でも特別な工夫が必要で、web面接でもまた別の工夫が必要になる。では具体的にどんな工夫が必要なのだろうか。
今回は、求職者側の立場から、オンライン就活、特にweb面接ではどんな工夫が必要なのかを考えたい。大きくは、「環境対策」「面接スキル対策」の2つに分かれる。
web面接で必要な工夫
環境対策
「新型コロナの影響で就活が不安な障害学生が、今やるべき3つのこと(1)」にも少し書いた。
まずはWifiなどの高速インターネット環境を整えること、web面接を受けられる場所を確保することが重要だ。
また、部屋の様子も印象形成に影響を与えるため、web面接を受ける場所についても工夫が必要だ。具体的には、プライベート感が見えるものはできるだけ映り込まないようにしよう。好きなミュージシャンのポスターなどがあると、面接官としてはどうしてもそちらが気になるし、社会人としての自覚を疑う面接官がいる可能性も十分にあり得る。
なお、私も面接官をする時がある。面接官としては、意識的に部屋はできるだけ気にしないようにするだろうが、無意識の印象形成をコントロールすることはなかなか難しい。
他の環境対策だが、カメラの位置を調整しよう。カメラは目線の位置に合わせることが重要だ。カメラが下になると、応募者が上から見下ろしているようで傲慢な印象を与える。カメラが上にあると、応募者が下から見上げているようで卑屈な印象を与える。また、カメラが固定されておらず、カメラが揺れると面接官が無意識にではあるが不快感を感じてしまう。
パソコンの場合は、パソコンを段ボールの上などに置き、パソコンについているカメラの位置を目線の高さに合わせよう。また、話すときはパソコンの画面ではなく、カメラを見るようにしよう。
スマートフォンやタブレットの場合は、少しお金がかかるが、固定スタンドを買うことをお勧めする。スマートフォンやタブレットを固定してずれないようにし、目線の高さに合わせるだけで相手に与える印象が大きく変わる。
また、顔が明るく見えるよう、光を調節しよう。オンラインで会議などをすると、光のあたり具合で顔が見えにくいことが多い。明るさは自分のいる場所によって大きな影響を受けるので、ある程度仕方のないことではあるが、それで良い印象を与えることができなければ損だ。
では、どうすればいいのか?場所にもよるが、電気スタンドの光を顔に当てることをオススメする。講師は「女優ライト」という、光が顔に満遍なく当たっているものを使っていることが多いが、わざわざ購入する必要はない。家にある電気スタンドで十分である。なお、私は専業講師なのだが、買っても片付けられないので女優ライトは買わず、前から家にあった電気スタンドを使っている。
このように、カメラとの目線を合わせ、ライトで顔を明るくすることを、面接前に実験し、ちょうどいいカメラとライトの位置を研究しておこう。
「なんでこんなことを・・・」と思う方もいるかもしれないが、無意識の印象形成が面接の合否に与える影響はバカにならない。
準備に時間がかかり、お金も少しかかるかもしれない。だが、十分投資するだけの価値があると思うので、是非お試しあれ。
では、面接の中身を良くするためにはどうすればいいのか。それは次回に。
【かめたーとる】
ADHD(注意・欠陥多動性障害)の診断を受けた当事者。大学卒業後、金融機関を経てベンチャー企業に出向。そこで不適応を起こして逃げるようにフリーランスに。小・中学生対象の塾講師を経て、現在は様々な大学でキャリア教育、就職活動支援の講師をメインに仕事を行なっている。特性上、数々の失敗体験、不適応体験を持つ。発達障害者の就労、ADHDの特性の記事などを担当するはずが、思いつくままに記事を書いている。
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